毎月の返済額をフリーキャッシュフローの範囲に留める

投資活動のキャッシュフロー…文字通り、設備投資をはじめとする自社の設備投資を中心とした資金の流れを表したキャッシュフローです。

 この投資活動のキャッシュフローでは、1. フリーキャッシュフローの創出、2. 投資に対する効果・回収、がポイントになります。

 1. のフリーキャッシュフローとは、営業活動と投資活動を合計した数値のことです。ここでは、営業活動で出たプラスの範囲内で、投資活動を行うという制限をかけることによって、フリーキャッシュフローをプラスに維持できる、ひいては会社全体のキャッシュフロー改善につながるという考え方です。

 2. の投資に対する効果・回収についてですが、固定資産は購入したら終わりではありません。購入後に自社の事業に対してどれだけの効果を生み出せたのか、そして投資した分を利益やキャッシュで確実に回収できているかどうかを確認することです。

 中小企業の場合、往々にして「買って満足」してしまうので、未使用の固定資産や利用頻度の低い固定資産があります。

 定期的に自社の投資活動をチェックすることで、投資に対する費用対効果が上がれば、自ずとキャッシュフローも改善されます。

財務活動のキャッシュフロー…中小企業の場合、増資をして資金調達を行うという習慣があまりないので、財務活動では自ずと銀行からの借入金の調達と返済に焦点が絞られます。

 ここでの改善ポイントは、「自社に見合った借入返済ペース」を把握することです。

 会社全体のキャッシュフローを改善するには、営業・投資・財務の3分野でプラスに導く必要があります。

 例えば、投資活動で大規模な設備投資を行う場合、当然のことですが銀行からの資金調達が必要不可欠になります。

 ですが、問題はその後です。実際に借入の返済を行うペースが、自社で生み出す営業・投資のキャッシュフローの合計額で賄えるかどうか、ここがポイントです。

 借入を行う前に、ぜひこの部分を検証して、そのうえでプラスが出るという判断であればゴーサインを出しても構いません。しかし、返済が厳しいようであれば、設備投資計画を見直さざるをえません。

 また、既存の借入金返済額が重たくなっているケースもあります。少々の額であれば、従来の手元資金で切り抜けられます。

 ですが、あまりにも返済額が大きい場合は、既存の借入先に借換えを依頼して毎月の元金返済を削減するか、もしくは同様の内容を他の取引銀行に打診する等して、毎月の元金返済額を自社のフリーキャッシュフローの範囲内に留める努力をしなければなりません。