キャッシュフローの改善と人事制度を連動させる

 上記のようなキャッシュフローの改善は、言葉で述べるのは簡単ですが、社内に根付かせるのは大変です。では、どうすれば良いのか?

 ここで重要なのが人事制度にこれらの評価項目を連動させることです。

 営業担当者であれば、一般的には売上金額や新規契約件数などの目標があります。これに加えて利益目標や売上債権の回収率や回収日数も加えることで、利益やキャッシュにも意識が向くようになります。

 同様に、購買担当者であれば在庫金額や仕入債務の支払いサイト、製造担当者なら設備投資で購入した機械の導入効果(生産量やロス率の改善等)、経理担当者なら借入金の見直しによる財務キャッシュフローの改善額、といった具合です。

 それぞれのキャッシュフロー項目を現場担当者の人事制度に連動させてみてください。

実質無借金経営で健全な財務体質を手に入れよう

 実質無借金経営とは、会社の手元資金残高から有利子負債(借入金残高)を差し引いて算出する数字です。この数字がプラスであれば、借金を返しても手元にお金が残っている状態になります。

 必要運転資金がいらず、設備投資も自己資金の範囲内で賄えるビジネスモデルであれば、無借金経営を目標としても構いません。

 しかし、中小企業の大半が、先ほどの必要運転資金や設備資金等で資金調達を行わなければなりません。ですが、銀行から借りるだけ借りたとしても、返済元金や利息の負担が大きくなります。

 一方で、会社の事業がいつも順調に推移すればよいですが、当然のことながらうまくいかないことが多いもの事実です。

 このような場合に備えて、実質無借金経営の状態を目指して、純粋な自己資金(キャッシュストック)をどれだけ確保するのかが重要です。

 また、自己資金の確保の目安としては、最低でも月額固定費の3ヵ月分、できれば中小企業でも6ヵ月分以上を確保できれば良いでしょう。

 自己資金を確保しておけば、非常事態が発生したとしても、それに耐えるだけの体力が備わっていることになります。

 会社を存続させるため、自社で働く社員にも安心して仕事に取り組んでもらえるよう、安定した自己資金の確保を目指しましょう。