反抗期こそ、自信をつけさせるチャンス
――反抗期に褒めることで、どのような効果が?
柳沢 思春期の子どもがなぜ反抗するのか。それは、自立心と不安感がぶつかりあって葛藤しているからなんです。生物として自立したいという思いが芽生えながらも、社会的なことは未経験なので自立して生きていくには不安が強い。両者がぶつかりあって混乱している状態です。ですから、自立心が芽生えるこの時期に、自発的にやってみたいことを掴ませる。そして、それがうまくできたときに褒めてあげると、不安感がスッと解消されます。その繰り返しのなかで自信が養われていきます。
反抗期の男の子というのは、照れがあるから、母親から褒められても素直な表現はしないかもしれないけれど、実は非常に嬉しいはずですよ。
――自信をつけるのは、やはり早い段階のほうがいいのでしょうか?
柳沢 子どもが“守られている”という安心感を身につけるには、実は3歳までの教育が非常に重要。“受け入れられている”という意識を持たせると、自信が生まれやすいのです。自分で行動することに心地よさを感じるようにするには、危なっかしくてもダメと押さえつけず、まずはやらせてみる。すると子どもは失敗を経て、慎重になりながらもチャレンジします。
たとえば子どもが紅茶に砂糖を入れようとしてこぼしたとします。「だからやっちゃダメと言ったじゃないか」。これは最悪です。この場合は、まず掃除を一緒にして「またこぼすと、掃除をしなくちゃいけないね」と、ひと言伝える。すると子どもは自分の頭で考えはじめます。
論理の構造として、ダメと言われたことはやらなくなるけれど、何をしていいかわからなくなる。でも、失敗したときに、次の行動のヒントを与えることで、自分でできるようになり、それが自信につながります。今の親御さんたちは、子ども可愛さに何でも先回りして環境を整えすぎてしまうけれど、それだと子どもにとって貴重な“失敗する機会”を奪ってしまう。これでは成長を阻んでいるのと同じことなんです。
――しっかり観察して、自信の芽を育てるようにサポートするのが大事なのですね。
柳沢 時間がかかると思うかもしれませんが、長いスパンで考えると時間の節約になるはずです。1回教えてできるようになると、親はやらなくて済む。機会を奪うと、自信に結びつきません。