徐々に陽気もよくなる3月。春分の日を境に陰気と陽気が交差して陽気がどんどん増していきます。この時期は、ホルモンや神経のバランスが崩れやすい時期なので注意して生活することが大切です。

 中国の養生法では、冬のうちに体の中にため込んでしまったものを排出して、リセットする時期でもあります。五臓の「肝」が活発に働いて体内の解毒を進めます。春を感じさせる山菜類には「苦味」のあるものが多く、この苦味は便通を促進します。「酸味」のあるものは「肝」の働きを促進させます。

 また、旬を迎える貝類や海藻類は五味のなかの「塩辛い」ですが、これは固まったものを軟らかくする性質があるので排出がしやすくなります。貝のタンパク質には肝機能を高めるアミノ酸のタウリンが多く含まれ、海藻には食物繊維が豊富に含まれています。

 このように旬の食材にはその時期、体に必要なものが多く含まれているということですね。アサリ、ワケギ、ワカメのぬた(味噌あえ)、ウドと赤貝の木の芽酢あえ、山菜の天ぷら、根ミツバのおひたし、フキの煮物など、昔から春の食卓に並んでいたものは、体にとっても必要なものだったのです。

 また、春には香りのいいものが多く出回りますが、これにも大切な役割があります。「気」を巡らすことで体内の「血と津(体液)」がスムーズに巡るからです。きれいな血が巡ることで細胞が活発に働いてエネルギーをつくり、不要なものを排出するのです。

 さらに「血」をきれいにする春野菜もたっぷりいただきましょう。春キャベツと新タマネギのサラダやスープもお薦めです。

 春はわくわくするほどおいしい食材が出回ります。楽しみながら体調も整えましょう!

●お料理ヒント
お薦めは、「桜エビとワカメの炊き込みご飯」。酒大さじ2を振りかけておいた釜揚げ桜エビ1/2カップをといだ米2合と合わせ、薄口醤油・酒各大さじ1と水を合わせ2合炊きの分量にして炊飯する。炊き上がったら、湯通しして一口大に切った新ワカメ1/2カップの水気をよく切って加え、上下に混ぜて5分ほど蒸らす。茶わんによそい、あれば木の芽を散らす。