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宝珠山卓志 モバイルフロンティアを駆け抜けろ!

激しく動く画像、全画面ポップアップ、どこまでもついてきて消えないバーコード――日本テイストでは受けない中国のデジタル広告事情

モバイルビジネスのアジア事情最前線(中国編)

宝珠山卓志 [株式会社D2C 代表取締役社長]
【第15回】 2014年3月20日
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 たとえ消せても、1分以内にまた現れたりもする。あまり多くの露出を好まず、控えめな広告表現が一般的な日本では考えにくいが、とにかく「目立つ」「前に出てくる」のが中国のネット広告であり、なかなか日本人マーケター的には理解しにくい。

 日本的なバナー広告を出しても決してクリックされることは無いと考えられるため、メディア側も嫌がるのが現実であったりと、広告のあり方は、国によってここまで違うものなのかと考えさせられる。

商習慣も違う中国では、総合力を発揮して提案するしかない

 商習慣も日本とは異質だ。日本では商流を守って行こうとする力が強いと思われるが、扱いを持ってきてくれた広告会社を出し抜いてメディアが広告主と直接取引をしようと画策することも多々。市場の拡大に伴い、グローバルエージェンシーも存在するが、世界基準でもない。広告会社、メディアレップ、メディアが先んじて広告主からの扱いを取ろうとしていることが、中国のデジタル広告市場の活況と独自性を構成しているとも言えよう。

 弊社も、オフィスを構えモバイルに強いデジタルエージェンシーとして活動しているが、市場で会社の存在を知ってもらうだけでも一苦労である。幸い日本でのモバイル広告市場が世界最先端だったので、セミナーやイベントを通じ知名度こそ、それなりにあるかもしれないが、内容を聞いた人々は日本から学ぼうなどと思っているとは考えにくい。単に自分のビジネスのネタになる、何かを探し回っているだけかもしれない。それほど競争が激しいのが中国のデジタル広告である。

中国文化に馴染んだ事例

 中にICチップが入っているリストバンドをリーダ(読み取り機)にタッチするとチェックインができて、リアルタイムでウェイボーやウェイシンといったSNSに情報が展開される「ソーシャルバンド」という商品を開発した。中国には自分をアピールしたい人が多く、さまざまなイベントに活用してもらっている。

 たとえば上海金融中心(Shanghai World Financial Center)で行われているスカイマラソン。100階を超える高層ビルを1階から登るマラソンで、ソーシャルバンドを中間ポイントにタッチし、ラップを刻み自分の頑張りを友達に伝えることができるものだ。

 そのほかにも、「美肌魔鏡」というアプリがある。これは日本の株式会社 洛洛.comが開発したスマートフォンアプリ「Beautecam」の中国版で、スマートフォンのカメラ部分に装着して肌を撮影すると、肌の状態を分析して、その結果によってお薦めの化粧品をレコメンデーションしてくれるというアプリだ。

 ECサイトへのリンクも表示されて、ユーザーはそこから商品を購入できるサービスで、化粧品メーカーで導入をしてもらっている。日本版はFacebookに慣れ親しんだユーザーを意識したインターフェースであったが、中国版は中国人の嗜好性を考慮したデザインにローカライズしている。

 中国では、日本のテイストをそのまま持ち込んで提案しても、なかなか受け入れられない。コストもそうだが、文化的な背景を一層理解し、一歩踏み込んでローカルテイストにしていかないとダメだ。

 派手好き、イベント好き、集まるのが好き、話をするのが好きという中国の文化であるが、日本人感覚からすると少し縁遠い。日本の事例を理解し、中国テイストで組み上げる。そんな感覚が必要なのが中国市場である。

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宝珠山卓志
[株式会社D2C 代表取締役社長]

1972年2月9日生まれ・東京育ち・妻と子供一人・趣味はシャンパーニュ。
1995年早稲田大学社会科学部卒業後、電通入社。マーケティング局配属後、第7営業局NTTドコモ担当。2000年D2Cへ出向。営業部長、営業推進部長を経て、2004年取締役COOに就任。2010年代表取締役に就任。現在に至る。

宝珠山卓志 モバイルフロンティアを駆け抜けろ!

モバイルマーケティングの第一人者が、業界動向や日々の話題にふれつつ、日本あるいは日本企業が持っている力の再検証と、それらを踏まえたグローバル市場における日本企業のポテンシャルを前向きに検証していく。

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