

今後、医療番号にもマイナンバーを利用することが検討されている。個人を区別するという単純な意味では、マイナンバーをIDとして共用することは可能であろう。しかし、IDを共用することは、マイナンバーの対象、つまり納税や社会保障に関する情報と、医療情報が容易に突き合わせできることを意味し、その弊害も考えるべきである。両情報ではIDからたどれる情報やその管理方法は違うことから、仮に共用するにしても、解決すべきことも多いのが実状であろう。
ところで著者はIDに関する書籍を書いている。佐藤一郎著『IDの秘密』(丸善出版)である。ここで触れたJANコードやICタグの裏事情を含め、新書ではあるが、IDについての知識を詳細にまとめている。こう書くと本稿を同書の宣伝のためのものともとられかねないが、仮にたくさん売れたとしても、業務での執筆なので、個人に印税が入ってくるわけではないので、お許しを。
それは別として、やはりビッグデータではIDが肝である点は変わりない。 いくら統計処理や分散処理基盤を駆使したところで、分析対象が適切に区別されていない、つまりは適切なIDが付いていなければ、適切な分析はできない。本稿がIDに関して再考していただく機会になれば幸いである。