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ビッグデータとID――統計手法や分散処理基盤に頭を悩ます前に知っておくべきこと

佐藤一郎 [国立情報学研究所・教授]
【第13回】 2014年4月8日
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 今後、医療番号にもマイナンバーを利用することが検討されている。個人を区別するという単純な意味では、マイナンバーをIDとして共用することは可能であろう。しかし、IDを共用することは、マイナンバーの対象、つまり納税や社会保障に関する情報と、医療情報が容易に突き合わせできることを意味し、その弊害も考えるべきである。両情報ではIDからたどれる情報やその管理方法は違うことから、仮に共用するにしても、解決すべきことも多いのが実状であろう。

おわりに

 ところで著者はIDに関する書籍を書いている。佐藤一郎著『IDの秘密』(丸善出版)である。ここで触れたJANコードやICタグの裏事情を含め、新書ではあるが、IDについての知識を詳細にまとめている。こう書くと本稿を同書の宣伝のためのものともとられかねないが、仮にたくさん売れたとしても、業務での執筆なので、個人に印税が入ってくるわけではないので、お許しを。

 それは別として、やはりビッグデータではIDが肝である点は変わりない。 いくら統計処理や分散処理基盤を駆使したところで、分析対象が適切に区別されていない、つまりは適切なIDが付いていなければ、適切な分析はできない。本稿がIDに関して再考していただく機会になれば幸いである。

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佐藤一郎
[国立情報学研究所・教授]

国立情報学研究所アーキテクチャ科学系教授。1991年慶応義塾大学理工学部電気工学科卒業。1996年同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻後期博士課程修了。博士(工学)。1996年お茶の水女子大学理学部情報学科助手、1998年同大助教授、2001年国立情報学研究所助教授、を経て、2006年から現職。また、総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻教授を兼任。
専門は分散システム、プログラミング言語、ネットワーク。

佐藤一郎のパースペクティブ

分散システムの研究を核としつつ、ユビキタス、ID、クラウド、ビッグデータといった進行形のテーマに対しても、国内外で精力的に発言を行っている気鋭のコンピュータ・サイエンス研究者が、社会、経済、テクノロジーの気になる動向について、日々の思索を綴る。

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