立命館大学で感じた、日本の大学生の質の高さ
1年間、立命館大学の学部生を教えて驚いたことがあります。それはトップ層の優秀さです。
たとえば、国際経営に関するある授業では、60名中上位5名の最終レポートの質を見ると、オックスフォード大学の大学院のレポートにも劣らない品質でした。私が口頭で説明した要点をほとんどもらさずにノートを取り、それを最終レポートに反映しているだけではありません。私の説明を批判的に解釈し、自分なりの考えを論理的に主張することができていたのです。
また、新入生向けの授業でも、とくにやる気のある生徒たちは、自分が在籍していたオックスフォード大学だけではなく、おそらく世界のトップ校の生徒にも負けないだけの潜在力を持っていると思います。
自分が探究しているテーマを調べるために、その業界トップの企業に突撃取材を試みるチームや、ある店舗に1日張り付いて、統計的に取れないデータを自分で取ってくるチームなどがいました。
一見、無謀にも見える冒険的な挑戦ですが、最終的に、自分にしか取れない情報を取ってくることに成功する。そういう成果は、トップ校でも優秀な人間にしか挙げられないものです。
先日は、今年度の新入生に対するゼミのガイダンスがありましたが、積極的な生徒が多く、たとえば、ゼミ運営の役員が数秒で決まっていくことには驚きを覚えました。これも、海外の大学と比較してもかなりのスピードです。
私が教鞭を採る立命館大学は、関西有数の歴史と伝統を持ち、とくに近年では、全国でも私学の難関校としての地位を確立しつつあります。私の所属する経営学部では、今年の受験者数が、昨年の6646名から8194名と大幅に増えており、着実に優秀な生徒を獲得しています。
しかし、とはいえ、東京大学や京都大学のように、相当本気で試験勉強することを求められるか、あるいは、天才でなければ入学試験を突破できないような超難関大学ではありません。そうした大学と比較すれば、立命館大学が門戸の広い大学であることはたしかでしょう。
文部科学省の平成25年の資料によれば、日本には国公立を合わせると782校の大学があるそうですが(*1)。この事実から考えると、その上位校の生徒だけをとってみれば、欧米のトップ校にも負けない生徒が多数在籍しているのだろうと、私は感じているのです。