先週のコラム記事「一観光客として体験した日本的サービス崩壊の予兆」はたいへんな反響を巻き起こしている。実際、このコラム記事を書く前に、私はかなり躊躇していた。コラム記事がアップされたあとに発表した「時事速報」のコラムのなかで、私は次のように述べている。

正直に言うと心配だった

『正直に言うと、今の日中間を流れる政治的な空気を考えると、この原稿を書くべきかどうかをかなり躊躇していた。一個人の体験でいくらショッキングなものであっても「以偏概全」(個別の実例をもって全体を説明する)の恐れはないのか、と自戒していた。

 しかし、日本の習慣などを知っており、日本語も少なくとも不自由なく使える私でも、一外国人観光客になると、そこまでトラブルに巻き込まれる頻度が高くなってしまったのを見ると、ひょっとしたら、これこそ現場での日常的真実かも、とも思う。もし後者の方だと、ジャーナリストとしての私は発言すべきだ。こういろいろ考えた末、もともと予定していたテーマをあとまわしにして、関西の小旅行で体験したサービスの問題点を取り上げることに踏み切った』

 原稿が掲載された翌日(4月17日)の反響は凄まじかった。中国のSNSの「微博」にその内容を140字で紹介し、サイトのリンクを張ったが、わずか1日で11万9000人が読んだ。5日後はこのコラムを読んだ人は約20万人に上った。

 日本語で書かれているコラムなのに、これほどの読者の関心を得られたことは、読み方によっては、中国には膨大な日本語読者層が存在していることを再認識させられた。日本語による情報のダイレクト発信も不可能ではないという副次的な発見に興奮を覚えた。