しかし、期待とは裏腹にプログラムの不具合という原因究明に約1時間、その後修正データを作成するのに約2時間半を費やし、正しいデータを投入できたのは午後3時半。その後もエラーを繰り返しては修正するという作業を余儀なくされ、午後4時半時点で、約2万3000件もの未処理案件が残ることになってしまった。

 ただ、この時点においても、三菱UFJは個別に照会をかけてきた顧客以外には、障害を一切周知していない。最終的に、ホームページ上で障害発生の「お知らせ」を掲載したのは、午後7時前だ。

 未処理案件などの「確定に時間がかかったため」(村林常務)と銀行側は説明するものの、午前中に判明した障害を夜まで知らせない対応が、果たして顧客目線に立ったものといえるのかは疑問だ。

 期限までに入金できれば、何ら問題はないという見方もあるかもしれないが、実は朝一番の入金には少なからず意味がある。特に企業間の取引においては、指定した日の朝一番にお金がしっかりと入金されていることが、信用向上につながる側面があるからだ。そうした取引の慣習を一番理解しているのは、銀行自身でもある。

 組織の体質は、トラブルや不祥事のときにこそ如実に表れる。今回の障害をめぐる対応が、肥大化した組織の中で徐々に進行する「見えざる病魔」でないことを願いたい。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

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