(1) 一番交渉が難航すると思われるものを最初に片づけてしまうのがよい。
(2) お互いに容易に同意できるような案件を最初に話し合うのがよい。
(3) どのような順序でやっても、基本的には問題はない。

決めやすいところから決めていく

 交渉においては、数量、個数、価格、日時、締切、スタッフの数、保証期間など、話し合わなければならない案件がいくつかあるのが普通である。単一のことだけを決める交渉というのは、あまりない。それゆえ、どのような順序で話をしていけばよいかを考えておかないと、交渉が難航することも少なくない。

 基本的なルールは、とりあえず「衝突せずに、簡単に決まりそうなもの」からやっていくのがよいだろう。最初に、うまく、ポン、ポンと話がまとまっていけば、その勢いで最後までまとめることができるからである。

 その順序を逆にして、いきなりお互いがぶつかり合うような案件で話をはじめると、お互いの心に「しこり」ができ、それによって交渉が遅々として進まなくなってしまうことが少なくない。したがって、(1)でなく、(2)のほうが望ましいのである。

 受験勉強をするとき、嫌いな科目から勉強をスタートしようとすると、なんとなくやる気がなくなってしまう。30分も机に座っていると、逃げ出したくなるものだ。だから、勉強をするときには、自分の好きな、あるいはとっつきやすい科目からスタートし、気分がノッてきたところで、嫌いな科目にもちょっとだけ手を出す、というやり方が望ましい。

 交渉もそうである。まずは、決めやすいところから妥結してしまい、「こりゃ、スムーズに話し合いができそうだ」という“雰囲気づくり”をしておけば、その後で、少々手強い案件で話し合いをしなければならなくとも、なんとかなってしまうものなのだ。

 プロヴァンス大学の心理学者ロバート・ジュール博士は、これを「ルアー法」と読んでいる。おいしそうなルアー(疑似餌)をまず投げて、そこにしっかりと食いつかせ、その後で、厄介な頼みごとや要求を出したほうが、いきなり厄介な要求を出すよりも、相手がOKしてくれる確率が高くなるのである。

 たいていの交渉で、1番の問題となるのが、「金銭」や「価格」に関することだろう。どちらも、なるべくお金で損をしたくないから、当然である。ビジネスというのは、利益をあげてナンボであるから、金銭や価格を決めるときには、どうしても話がこじれやすいのだ。

 「お金なんていりません。僕はやりがいのある仕事なら、なんでもお引き受けします!」という人がいればいいのだが、現実には、そういう気概に溢れた人物は、なかなか存在しないものである。

 したがって、金銭がらみの案件はまず脇においておき、もう少し決めやすいところからスタートするのがよいだろう。いきなりお金の話から入るのも、なんとなくお金に汚いイメージを与えてしまうので、当たり障りのないところからスタートするのが、やはり無難である。

 「簡単なところから、どんどん決めていってしまいましょうか」

 出だしでつまずかないように、決めやすい案件かどうかをあらかじめよく吟味しておき、提示する順序を間違えないようにしたい。

【答え (2)】

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