加えて、ジェネリック医薬品と同じように、主に他社が先行開発した技術や部品を組み込んでいるので、開発費が抑えられ、余分な人件費を圧縮できる。テレビCMなども打たないため、広告宣伝費も大してかからない。これらの要素がコストダウン効果を生み、劇安を実現しているのだ。

海外生産が主流だが、ジャパンクオリティは確保

「こんなに安くて品質は大丈夫なの?」と素朴な疑問を持つ人もいるだろう。それに対し、近兼氏はこう答える。「採用している成熟技術は、いわば、様々な技術が自然淘汰される中、生き残ったスタンダードな技術。長年改良が重ねられ、品質も安定している。だから、登場したばかりの先端技術を使っている家電より、かえって製品としての完成度は高い」。

 一方、各社なりの独自の取り組みも、高品質化に寄与する。「山善はジェネリック家電メーカーであると同時に、工作機械の商社という顔も持つ。家電の生産は中国の工場に委託しているが、その委託先に日本や世界の優秀な工作機械(マザーマシン)も販売している。つまり、マザーマシンを売り、それを使ってでき上がったジェネリック家電を逆に仕入れて、国内市場で販売している。いい工作機械で作るから、必然的に安定して良質な製品を生み出せる」(近兼氏)。

 オリオン電機の場合は、1988年にタイに自社工場を構えている。タイの人たちは親日で勤勉といわれている。その国民性に早くから目を付け、20年以上にわたって労使の信頼関係を築きつつ、良質な製品を作り続けている。

 家電に対する世間の目も変わってきた。長期のデフレの影響もあり、大手ナショナルブランドのものではなく、ノーブランドでも安くて品質が高いジェネリック家電を買う消費者が増えているのだ。「今の消費者の意識は一点豪華主義。アパレルでは高価なブランドの服はそこそこに、残りはユニクロでという動きがあるが、それが家電にも広がっている」(近兼氏)と。家電であれば、炊飯器だけは多機能な大手メーカー製を買うが、扇風機や液晶テレビや掃除機などはジェネリック家電でまかなうといった具合だ。

 近兼氏はさらにジェネリック家電の可能性をこう考える。「海外では日本のメーカーが作る製品の信頼性やニーズはとても高い。ちょうど価格が手ごろなユニクロの服が途上国で人気になっているように、ジェネリック家電はインドや中東、アフリカなど向けの重要な輸出製品になり得る」。

 国内外で、日本の家電メーカーは海外メーカーの攻勢にさらされているが、ジェネリック家電は巻き返しを図る突破口になるかもしれない。

(大来 俊/5時から作家塾(R)