想像しやすいので、個人向けの自動車販売を思い浮かべてみましょう。

 子どもがふたりいる4人家族が、車の購入を検討しているとします。
 ご主人(運転者)が車を購入して4年6ヵ月が過ぎ、自動車ローン(毎月、約3万円)は6ヵ月以内に完済します。最近、故障が多くなってきたことに不安を感じているうえ、ガソリン代の値上がりもあって燃費が悪いのも不満といいます。

 特に、購入動機に密接に関係するのは「いつ必要か」という導入時期です。期限があれば、それだけ商品・サービスの選定は切実なはずだからです。

 このお客様が「いま」車を買う「動機」を整理してみましょう。

 ・B(予算):自動車ローンを毎月当たり約3万円支払っている
 ・A(決裁者):故障が起きることに不安を感じている「ご主人」が決める
 ・N(必要度):安心して運転できて、毎月のガソリン代を節約したい
 ・T(購入時期):6ヵ月以内に自動車ローンを完済する

 まず、「予算」があれば、車を買い替えることができますし、「決裁者」がわかれば、誰に提案すべきかわかります。

 さらに、「必要度」によって、どんな車を提案すればよいかはっきりしますし、最後の「購入時期」の希望によってお客様の切迫具合がはかれるでしょう。このお客様の場合、まず「予算」が毎月「3万円」であれば買い替えるかどうか、「決裁者」であるご主人に確認します。次に、「必要度」を満たす低燃費で安全な車を、「購入時期」から逆算して提案できます。

 どんな商談案件でも、必ずこの「B予算」「A決裁者」「N必要度」「T購入時期」という4点から、そのお客様が購入に対してどのぐらい本気なのか確認すること―—それが、「よいお客様」を見極めるコツです。

法人営業でもやることは同じ!

 法人営業でも、基本的に同じです。

 たとえば、あなたが情報通信サービス会社の営業だとします。次のお客様は検討の動機が明確なよいお客様かどうか、検討してみてください。

 お客様は日本を代表する銀行で、現在稼働している顧客管理システムはあなたの会社が5億円で受注して開発しました。5年のリース契約で導入して、4年が経過しています。年間のシステム保守費用として、毎年1億円を支払って頂いています。

 お客様は現在のシステムで対応不能なサービスが生じていることから、1年以内にシステムを入れ替える検討をしています。一方、行内全体の本年度目標として、年間100億円の経費削減を目指していて、システム入れ替えの予算は、新規開発費と年間システム保守費用を含めて、現在のシステム保守費用1億円よりも低い年間9000万円です。そしてあなたが会っているのは、決裁者である情報システム部長です。

 このお客様の「BANT」を確認していきましょう。

 ・B(予算) : 年間9,000万円
 ・A(決裁者) :情報システム部長
 ・N(必要度) :現在のシステムでは対応できない
 ・T(導入時期):1年以内