「努力が結果につながらない」「目標を達成しつづけられる秘訣を知りたい」…そんなふうに日々悩み、試行錯誤を繰り返しながら、がんばっている営業マンは少なくないのではないでしょうか。そして、営業リーダーも「どのように部下を支援すれば業績が上がるのか」「押さえるべきポイントをうまく伝えられない」と多かれ少なかれ悩みや不安を抱えているかもしれません。実は、センスや気合いに関係なく、誰にでも再現できる「営業プロセス」が存在するのです。この基本さえ押さえれば、自分なりに工夫を加えることで、さらに成果を上げることができます。本連載では、この営業プロセスを5つのステップに分解して、実践すべき事項を具体的に紹介していきます。

 営業といえば“結果がすべて”であり、そのための「気合い」や「根性」「熱意」「体力」が重視されがちです。
 もちろん、どれも優秀な営業マンに欠かせない要素ですし、マーケティングやファイナンスなど、どんな分野でも不可欠でしょう。営業の仕事は学校では学べない分野だからこそ、精神論が持ち出されやすいのかもしれません。

 でも私はあえて、言いたい。
営業は、必要な「段取りを踏む」ことがすべてです。

 製品をつくる手順や過程を「製造プロセス」というように、営業にも「営業プロセス」が確かに存在します。お客様ごとに、綿密な営業プロセスをつくり、試行錯誤を繰り返しながら練り上げて実行することこそが、成功への近道なのです。「当たってくだけろ!」と闇雲に数多くのお客様を訪問しても、成約できる確率は決して上がりません。営業プロセス=段取りを正しく踏むことで、成果はまったく違ってきます。しかも、そのプロセスを「見える化」して、チームで共有し、リーダーや営業マンがお互いに協力することで、業績はぐっと高まります。

営業プロセスの基本は
個人向けでも法人向けでも同じ

 それでは、具体的な「営業プロセス」とは、どのようなものでしょうか。
 私は、個人向け商品であれ、法人向け商品であれ、次の5つのステップに集約されると考えます。

 ステップ1.「よいお客様」を見極める(顧客の発掘)
 ステップ2.商談の結論を出す期限をとりつける(期限の合意)
 ステップ3.お客様の課題と解決策を分析する(顧客の課題分析)
 ステップ4.商品・サービスを提案する(提案活動)
 ステップ5.正式に契約を結び、「次」へ布石をうつ

 大切な段取りごとに1ステップと設定しているので、ステップ「1段階」につき「1回訪問」というわけではなく、可能なら1日で全ステップを終わらせてもかまいません。通常、ステップ1〜2は初回か、遅くとも2回目訪問までに終わらせたい事項であり、ステップ3は3回目か場合によって4回目あたりまで、そしてステップ4以降は各1回の訪問で実践することを想定しています。

 どのステップも、当たり前の項目が並んでいる、と思えるかもしれません。しかし、それぞれのステップで必ず押さえておくべきポイントがあるので、詳細は次回から解説していきます。