決裁者に改めてBANTを確認する

 さて、いよいよ決裁者との面談です。

 誰でも、最初は多少のプレッシャーを感じるものです。「決裁者」に会う回数が多くなるにつれて、次第に慣れて、緊張することなくこなせるようになるので安心してください。

 ただし決裁者と会う前に、最低限のお客様情報として、業界環境とお客様の売上高、営業利益、株主構成、役員構成、対処すべき課題(解決が必要な問題)、経営理念をホームページなどで調べるのを忘れないようにしてください。できれば、売上高や利益、課題、経営理念など重要な情報は暗記しておくとよいでしょう。そうした情報があれば、みずからひけらかす必要はありませんが、会話の糸口がつかみやすいものです。お客様側も「よく勉強しているな」と感じると、好意的に対応してくれます。

 決裁者とお会いしたら、BANTの3つ「予算」「必要度」「導入時期」を改めて確認してください。質問すれば、教えてくれる場合が多いからです。そして、「今回の商談案件を決定するポイントは何ですか」と必ず率直に聞きましょう。そうすることで、普段お会いしている担当者以上の情報を引き出せることが多く、成約に近づくことができます。

 お会いした後には、面談した内容と今後の検討スケジュールをお礼状として、できれば1枚にまとめて翌日までに、封書かメールで送付するようにしてください。メールは、お客様が本気で意思決定する意志があるかを確認できる有効な手段です。提案書や見積書を出すまでもなく、メールの返事などから、お客様の意志を確認できるからです。

 つまり、ひと手間増えるように見えて、実は、提案書や見積書などの作業工数を減らせるので、大幅な時間短縮にもつながります。検討が進んで提案書を提出する際に「○月○日までに契約をお願いします」と切羽詰まって言わなくても、提案する前から、双方で契約日を確認してしまうことができます。この攻めの姿勢が、成功のカギです。

 このステップ2では、お客様企業内にあなたの応援者を確保し、お客様の決裁プロセスを把握して、決裁者と会うことがポイントです。特に、決裁プロセスの把握と決裁者との面談は商談の勝敗の分かれ目ですから、リーダーは状況をみつつ、営業マンに同行してフォローしてあげるべき、もっとも大切なステップです。このタイミングで、リーダーが決裁者と会っておけば、このあと「営業の筋書き(ストーリー)」を担当する営業マンが作成するとき、より実践的なアドバイスをすることもできます。

 このステップ2のポイントをメンバー全員が押さえられれば、個人にしろチームにしろ、生産性と業績が面白いように上がるでしょう!


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