連休明け火曜日の東京株式市場は、前日の米国株の急反発を受けて、全面高の展開となった。だが、今後の株価の行方を考える上では、一日の値動きよりも、先週金曜日までの相場に注目すべきだ。

 周知の通り、先週はニューヨーク・ダウ、日経平均ともに大きく下げた(下落率は2割超)。10月10日の日経平均の終値は8276円。この日の下げ率は、9.6%に達し、1953年3月のスターリンショック、1987年10月のブラックマンデーに次ぐ歴代3位の記録だ。

 先週のマーケットを見ていると、確かにパニック的な売りが続いていたが、実は最後の2日間に特色があった。アメリカも日本も株価が下がりながら、国債の利回りが上がっていたのだ。

 不景気への懸念がベースにある時は、リスクがあるとして株式が売られても、安全な資産とみなされる国債は買われる(利回りは下がる)のが普通だった。ここのところの下げ局面でも、だいたいそうだった。しかし、先週の木曜日と金曜日には両方ともが売られたのだ。これは、パフォーマンスが悪化しているヘッジファンドを中心にファンドの解約売りが集中的に出たためではないか。要は、全ポジションの現金化だ。

 売られ方としては、“セリング・クライマックス”(投資家が株式市場は暴落すると考え、持っている株を投げ売りする最悪期)的な、極端な弱気に偏りすぎている気がする。

 この間の取引材料を振り返ってみよう。

 下院でいったん否決されるなど散々紛糾したあげく、最大7000億ドル(日本円換算で見ると、当初は75兆円と言われていたが、この間の円高・ドル安の進展で70兆円に目減り)の公的資金活用の道を開いた金融安定化法案が米国で成立し、その後マーケットが終わった週末に、米政府が金融機関への公的資本注入計画を明らかにした。

 むろん、マーケットが開いている間にも、イギリス政府による最大500億ポンド(約9兆円)の公的資本注入の発表もあったし、アメリカでも公的資本注入計画は報道ベースでは市場に伝わっていた。その時々に注目されている材料に対して、対策の出が一歩ずつというか一歩以上遅れている感触はあったが、好材料を全く評価しないかのような反応は「行き過ぎた弱気」ではないか。