仕事中に昼寝をしているのは、さぼっているのと同じ……。そう考えている人がいます。ただ、睡眠時間が十分に取れていない現代のビジネスパーソンにとって昼寝は、それを補うために必要な時間ともいえます。そうした風潮に伴って、最近は積極的に昼寝を推奨したり、昼寝タイムを導入する職場が増えてきました。目的は業務の効率化、社員の健康管理など様々です。

 しかし、冒頭でご紹介したとおり、「昼寝=サボリ」というイメージを抱く人がいるのも事実。そこで、社員が昼寝をしても心を痛めないように職場では運用を工夫する必要があります。もし職場で昼寝タイムが導入されたら、あなたは堂々と昼寝できますか? 今回は、ぜひ自分事に置き換えて「職場での昼寝」について考えてみてください。

約9割が「仕事中眠くなったことがある」
睡眠不足の日本人には昼寝が必要?

 ネット関連企業でSE(システムエンジニア)をしているFさんの職場では、「仕事に集中するため」との目的で昼寝タイムが導入されました。具体的には、業務中に30分以内の昼寝を許可するというものです。実際に職場の会議室の1つが昼寝用スペースに変わりました。

 そのスペースには、仮眠ができるようにソファベッドが午後になるとずらりと並びます。ただ、夕方になると片付けられてしまいます。あくまで昼間に短時間の休憩することが奨励されるようになっただけで、残業して睡眠時間を削って働くためのものではないと人事からも説明があったようです。

 制度が導入された当初は、「昼寝をしに仮眠スペースに行くこと=さぼっている」と思い込んで、躊躇する社員もいました。ただ、1ヵ月も経つと先輩社員が率先して、

「昼寝してきます。30分したら戻ります」

 と出ていく光景が当たり前になり、全社的に昼寝が定着していきました。確かに昼寝から帰ってきた人の顔は、元気に回復しているようにみえます。これまでを振り返れば、昼寝をしないまでも、疲れや集中力の欠如から回復するために、いろいろなことを誰もがやっていたのではないでしょうか?

 例えば、Fさんの同僚のGさんは、喫煙室で煙草を吸いながら、あるいは缶コーヒーを飲みながら談笑したり、ぼんやりと過ごしている時間が1日で30分以上ありました。それが昼寝に変わっただけだとすれば、仕事に集中している時間に大きな変化はないことになります。Fさんもこれまで、作業が立て込んで深夜残業が増えると机で考え事するふりをして仮眠を取ることがありました。ただ、自分の机ですから上司や同僚から声がかかる可能性があります。それほど、深く寝るわけにはいきません。