ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
「デジタルな日常」を生きる

デジタルな日常を
気配のように実現するアップル

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第19回】 2014年6月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
5
WWDC14会場に展示されていたiPhoneと車載機を連携させるCarPlayのデモ。1960年代のフォード・マスタングにパイオニアのCarPlay対応機を搭載し、最新テクノロジーを利用できるようにしていた

 例えばHomeKitは米国を中心としたホームセキュリティや冷暖房器具のメーカーが対応を表明しており、アプリの開発者はこれらを制御させたり、連携させることができるアプリを作ることができるようになっていくだろう。すると、我々ユーザーはiPhoneをリモコンとして、身の回りの電化製品を操ったり、在宅・不在、あるいは家の中の場所に応じて自動的に最適な環境を作ってくれるようになるだろう。

アプリ化するデジタルな日常

 その姿はまさに、気配程度の存在感で我々の生活を豊かにしてくれるデジタルな日常、パターン2に当てはまる。ただ、気づかぬうちに、というほどひっそりとではなく、ユーザーはこれらを「アプリ」という形で生活に取り入れることになるだろう。

 アプリは1つの機能を実現してくれるプログラムの単位として、iPhone登場以降流通してきた。今までは画面の中で実現する機能を、ユーザーはスマートフォンやタブレットを介して利用してきた。しかし身の回りの者と連携する仕組みを備え始めると、インタラクションの相手はスマートフォンの画面の中ではなくなっていく。

 それでもユーザーは、今までと同じように、アプリとして、新しい日常を手に入れられるようになる。スマートフォンの操作に慣れ親しんでいることはもちろん前提となってしまうが、スマートフォンさえ使えれば、アプリとして提供されていく最新のテクノロジーを使いこなせることと同義だ。

 つまり、何か新しいことを考えたり、人々に伝えていこうとする際、「アプリ」という方法論や表現方法が非常に重要になったことを改めて痛感させられる。スマートフォンのアプリの制約や可能性、スマートフォンとそれ以外のものを連携させる手段を知るには、開発者でなくても、アップルやグーグルが公開する開発キットを精査しなければならない。

 もちろん、アップルやグーグルのプラットホームの外でパターン1のイノベーションを狙い続けることは大切だ。しかし当面は、開発者でなくてもコードやAPIを理解し、人々に直接アプリを届けるイメージでデジタルな日常を作っていくことが早道なのだ。

previous page
5
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

「デジタルな日常」を生きる

スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

「「デジタルな日常」を生きる」

⇒バックナンバー一覧