上司が陥りがちな6つの評価エラー

 前述した通り、評価は測定ではなく判定であるのでエラーがつきものです。そのエラーの生じる原因については、多くの専門家が研究していて、いろいろなエラーの種類と原因が発表されています。ここでは、それを踏まえた上で、私がかねてから実際のビジネスを通して肌で感じている評価エラーを6つに再分類しました。

<6つの評価エラー>
(1)印象評価(イメージ評価)
(2)2-4の法則
(3)逆算評価(メイキング)
(4)例外誇張評価(ハロー効果)
(5)論理的誤謬
(6)対比誤差

 それぞれの評価エラーの内容については後述しますが、どれも下手な漫才を見るよりも笑えるものばかりです。これら6つのエラーの実態を知るだけでも、「いままで苦しんできたのがバカバカしい」と言いたくなるかもしれません。

エラー(1) 印象評価(イメージ評価)

 馬鹿らしさで一、二を争うのがこの印象評価という評価エラーです。評価は可能な限り事実測定の積み重ねで行うことが大切なのですが、その事実を印象で打ち消してしまうというものです。

「○○君は、毎週の朝礼で年5回欠席した」というのは事実測定になり得ますが、「○○君は、毎週の朝礼で声が小さい」「○○君は、毎週の朝礼でいつも元気がない」などというのは印象であって、事実測定にはなり得ません。

 でも、ほとんどの評価者は「○○君は、毎週の朝礼で声が小さく覇気が感じられないので、こことここの項目は低い採点にしてもしかたない」と印象で判定してしまうのです。もちろん、それが評価エラーだと気づくことはありません。残念ながらこれが評価の現場の実感なのです。

エラー(2) 「2-4の法則」

 この2-4の法則というのは、5段階評価であれば、えこひいきしたい人の採点は4を中心にして考え、あまり評価したくない人の採点は2を中心にして考えるような評価手法を意味します。ちなみに、そのどちらでもない人に対しては3を中心にして考えることになります。

 たとえば、お気に入りのA君に対しては、標準が4点で評価できると思った部分については5点をつけます。しかし、あまり評価したくないB君に対しては、標準が2点ですから、評価できると思った部分でも3点しかつけないのです。つまり、えこひいきの度合いに合わせて、4が中心か2が中心かを決めてから採点するので「2-4の法則」というわけです。

「そんなバカな!」と思った人は公平な人です。しかし、現実は、この2-4の法則の誘惑に負けている人が多いのです。