というわけで、都市部で除草作業に使うとすれば断然、ヤギに軍配が上がる。たしかに、団地の中や河川敷でいきなり牛を見かけたら、ふつうは驚く。誤って道路にでも出たら大騒ぎである(注:牛を同じように放牧する際は電気柵を使用することが多い)。

 じつは安部教授、もともとは牛を研究されていたそう。だが、約10年前に学内の事情で牛を飼えなくなり、代わりにヤギを飼育して研究するようになった。牛の運動場だったスペースは校舎に変わったそうである。現在、学内で飼育している研究用のヤギは20頭いるそうだ。

“働くヤギ”が都市部でも増加中!<br />除草だけじゃないヤギが切り開く「未開拓ビジネス」最年長のオス(右)とメス(左)

――ヤギの寿命ってどれくらいなのでしょうか?

「15年は生きるでしょうね。こちらもまだ飼い始めて10年くらいですから、そんなに年老いたヤギは知らないのですが、一番年上があの草を食べているオスで8歳。ご覧の通り、まだ元気いっぱいです」
 

都会でヤギを飼いたい人は
これに注意すべし!

――除草作業に有効とはいえ、都会で家畜を飼うのはなかなか大変そうですね。そのためか、日本でもアメリカでもヤギのレンタル事業が出てきています。ネットで調べると、ヤギの草刈りはエコロジーだということでアメリカでも大変人気のようです。

「じつは時々、一般の方からも相談の電話がかかってきます。家の庭でヤギを飼いたいのですが、どうしたらいいでしょうか、と」

――えっ、一般の方からですか?

「それも、普通の建て売り住宅で20坪くらいの庭に芝が生えているのでそこで飼いたい、と。まあ、大きさは大型犬とそう変わりませんし、価格も数万円程度ですから飼って飼えないことはないんですが……いろいろと問題はあります。一つは鳴き声。住宅密集地だとやはりご近所迷惑になります。それと、ヤギ特有の臭いも若干ある。気にならない方は気にならないんですが。それと糞尿の問題ですね。これは一頭あたり1日1キロくらいは出ますからこの処理をどうするか、でしょうね」

――どうするのでしょう?

「もちろん、自治体のゴミ収集袋に入れても持っていってはくれません。特殊ゴミ扱いになります。埋めた場合、長く飼うとなると衛生問題になる可能性が出てきます。それでも飼われますか、と聞くと諦める方が多いですね。地方など広い庭をお持ちで、そこの草をヤギが食べてもいいのなら、飼うことは不可能ではありません。ただし、その場合も以下のことは注意された方がいい。ヤギは牛や豚と同じように家畜伝染病予防法の適用を受けますので、飼う際は事前に各地の家畜保健衛生所(獣医師免許を持つ家畜防疫員がいる)に届け出る必要があります」