日本とオランダは状況が異なるため、すべて民営化というは非現実的だが、有償サービスの拡充、組合員以外への集出荷施設の開放等を行うことが求められる。現在の農協は金融や共済など付帯的な事業からの収益により、本来基幹とすべき農業事業の赤字を賄っているが、やはり農業事業単独で自立できるようにすべきである。

 農協の活動のうち、資材、肥料などの共同購買については、農家メリットの面から再度見直す必要があると考える。地域や品目によって異なるが、農協価格が一般的な調達価格よりも高いケースも散見される。農家が安く資材を調達できるように始めた共同購買が高くては意味がない。敢えて厳しい表現を使うが、組織の収益を重視するあまり、農家のための共同購買という当初の大義を忘れてしまったのではないのかと疑いたくもなる。

 近年は、ホームセンター事業者等が農家向けの資材供給を行っており、民間と適切な競争関係が求められる。農業資材市場の活性化のためには、農協に対する独占禁止法適用除外の見直しも議論されるべきであろう。調達ルートの複線化は、単なる価格低下だけでなく、民間の創意工夫によりこれまで農協が取り扱っていなかった独自性の高い資材の調達が可能になる点においても、農家に歓迎されるだろう。

 資材メーカーや資材販売企業にとっても新たなビジネスチャンスとなる。民間企業が参画しにくい過疎地域における供給の確保等の課題に留意しつつ、オープンな議論が求められる。

JA全中は自己改革ができるか

 組織は外部環境の変化に合わせて、役割や姿を常に変えていく必要がある。しかし、JA全中は自らの意志では、国民が納得するような大胆な改革を打ち出すことが難しかった。

 これはJA全中に限らず、どのような組織にとっても同様である。長期的には必要不可欠な変化も、短期的には現状を破壊するデメリットが目立ってしまうからだ。規制改革会議の提言はJA全中からの反発を織り込んだ上で、ある種の「見せ球」として意図的に過激な表現を使ったようにも見受けられる。

 最終的に、新成長戦略では「自立的新制度への移行」という、農協側の自己改革を促す表現となった。5年間の改革期間において、農協が時代に即した真に農家のための組織に生まれ変われるかが問われている。繰り返しとなるが、農協の流通システム、集出荷施設、指導ノウハウ等には優れたものが多く、日本農業の再生のベースとなり得るものである。

 政治力や集票といった農業の現場と関係のない事象のために自己改革が滞り、結果として農協の有するポテンシャルが埋もれてしまうことがないよう改革が求められている。