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「働き方」という経営問題―The Future of Work―

クラウド環境での開発を初体験した
システムエンジニアが抱いた危機感
――日本版「MOOC」の開発者に聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第6回】 2014年8月8日
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 「クラウドの開発環境は日々進化していますから、例えば開発の途中で、ものすごく基本的な仕様がバージョンアップしてしまうこともあります。もちろん従来のバージョンで開発を続けることもできるのですが、新バージョンの改善点を吟味したとき、『やっぱり変えた方がいい』という判断になる可能性もあります。その場合、それまで作ってきたものを全部捨てて、一から作り直すことがベストの選択です。先ほど話したように物理的なサーバの費用等はかかりませんから、やろうと思えばできる。それをやれるチームだったことが、サービス開始時に最新の技術を取り込めた背景にあるのです。

 今回gaccoを開発したエンジニアは私を含めて5人ですが、実はだれもAWSの経験がありませんでした。開発途中の場面場面で、『物理サーバでは重要だった設計項目は、クラウドでも重要視するべきだろうか?』などという議論を常に繰り返して、それぞれの技術的な経験をベースにしながらも柔軟にディスカッションしながら作ることができました」(渡辺氏)

ユーザーを拡大させながら
ビジネスモデルを変化させる

 また、事業企画を担当した小林健太郎・コンテンツ開発部担当部長は、サービスの短期立ち上げと素早い改善には、開発者だけでなく事業に関わる各部署の意思統一も重要だと語る。

 「これまでのサービス開発では、技術部門が見ているデータと、経営が見ているデータの種類が違っていました。これからは、1つの数字が意味するものを、各部署が解釈し、部署間で話し合って共通の目標を作り、改善していく努力がますます重要になります。クラウドの開発環境は、1つのデータをさまざまな部署で共有する基盤として非常に適していることが、今回のgaccoの開発を通じて実感できました」(小林氏)

 小林氏は、開発者側の意識改革とともに、事業としてもクラウドを使うメリットがあると語る。

 「米国のMOOCの場合、キータイプのクセやWebカメラによる認証で、登録した受講者が講座を受けていることを証明する本人認証サービスなどが収益の柱です。修了証の信憑性を担保するために受講者が数千円程度負担していますが、米国のMOOCの代表的なサービスである『Cousera』でも年間数億円の収益規模だと聞きます。

 日本のgaccoで有償としている反転授業(リアル授業)も、会員数の拡大を図っていかないと収益化の見通しは立たないので、まずは会員数の100万人突破を目標にしています。

 新しいサービスを立ち上げ、市場を作りだしていく場合、できるだけ短期間に会員を一定数確保することが必要ですが、自前でサーバを持って拡張していく環境では、拡大すればするほど多大な運営上の負担がのしかかります。クラウドの柔軟性がなければ、実現は難しいと思います」(小林氏)

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人口減少による働き手の不足と経済・社会のグローバル化が、企業経営を取りまく大問題となっている。そのなかで、企業が競争優位性を築くためのキーワードとして浮上しているのが「ワークスタイル変革」だ。識者への取材や企業事例の紹介を通じて、すべての企業と働く人に問われている「働き方」の課題を明らかにしていく。

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