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中国「LINE封鎖騒動」の真相
――「グレートファイヤーウォール」はこうして作動した

渡辺大介 [ピド代表取締役]
【第58回】 2014年8月21日
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出典:筆者による撮影。中国本土から規制対象の海外サービス利用に広く使われてきた、VPNというグレートファイヤーウォール回避の手法を利用しても、現状はアクセス遮断されメッセージは届かない

 同様に、すでにLINEのシェアが40%を超え日本同様の利用頻度となっている香港にて、7月1日の香港返還前後に活性化された大規模な民主化デモに伴い、LINEをはじめ海外系SNSや写真共有アプリなどにおいて、通常検閲規制のない香港にてイレギュラーなアクセス遮断がなされており、中国政府がモバイルメッセンジャーアプリでのデマ等に対し、重大な問題であると認識していることがわかる。

 すでに8月7日の時点で、中国政府から主にWe ChatやLINEをはじめとするメッセンジャーサービスについてのガイドライン、通称「微信十条(We Chat十ヵ条)」が発表され、上記問題についての政府公式見解及び規定が定められた[図4]

 これによると、「企業公式アカウントの実名制及び認可」「一般ユーザーアカウントの身分証明の必要性」「報道系アカウントの政府への届出」「サービスプロバイダーの政府当局への協力義務・記録保持・情報開示」が明文化されており、曖昧となっていた従来とは異なり、中国政府当局からモバイルメッセンジャーサービスについて「政治的問題に関する監督下に入る」という明確な意思表示となっている。

We Chatをはじめとするモバイルメッセンジャーアプリについて。ポイントは以下の通り ●(LINEを含む)中国国内を対象としたメッセンジャーアプリが政府監督下にあることを明文化 ●一般ユーザーの身分証明提示の厳格化、企業アカウントの実名認証制 ●時事問題についての報道アカウントは中国政府への新聞社登録が必要 ●サービスプロバイダーは法令・社会主義を遵守の上、政府の要請に従いデータを保管し、要請に応じて開示すること

 この規定に従い、中国で最も普及しているメッセンジャーアプリ「We Chat」も上述した通り、ウイグル自治区においてテロ用途に利用されたため、中国政府からの協力要請に全面的に応じ、自主的に情報提供、規制対象キーワード制限や一部アクセス遮断がなされている。

 このような一連の中国政府としては看過する事のできない事象に対し、単なる技術的な面での是正が困難な事から、特にコントロールの効きにくい海外(香港含む)からのアクセスが多いLINEの全面遮断及びサービス是正勧告に踏み切った可能性が高く、単なるネットワークシステムの問題では無いため、復旧には相当な時間と対応工数が掛かるものと見受けられる。

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渡辺大介
[ピド代表取締役]

1981年生まれ。国際基督教大学卒業後、日系システム会社、中国系Eコマース、マーケティング会社を経て現職。2014年より、ピドの代表取締役兼フラクタリストチャイナ日本事業本部長として、日系企業向けに中国市場でのマーケティング支援を行っている。ピドは、中国市場でのモバイルを活用した広告マーケティング分野の最大手企業であるフラクタリストチャイナのソリューションをはじめ、日系企業が中国でのモバイルマーケティング活用を検討するサポートを行う。

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