

同様に、すでにLINEのシェアが40%を超え日本同様の利用頻度となっている香港にて、7月1日の香港返還前後に活性化された大規模な民主化デモに伴い、LINEをはじめ海外系SNSや写真共有アプリなどにおいて、通常検閲規制のない香港にてイレギュラーなアクセス遮断がなされており、中国政府がモバイルメッセンジャーアプリでのデマ等に対し、重大な問題であると認識していることがわかる。
すでに8月7日の時点で、中国政府から主にWe ChatやLINEをはじめとするメッセンジャーサービスについてのガイドライン、通称「微信十条(We Chat十ヵ条)」が発表され、上記問題についての政府公式見解及び規定が定められた[図4]。
これによると、「企業公式アカウントの実名制及び認可」「一般ユーザーアカウントの身分証明の必要性」「報道系アカウントの政府への届出」「サービスプロバイダーの政府当局への協力義務・記録保持・情報開示」が明文化されており、曖昧となっていた従来とは異なり、中国政府当局からモバイルメッセンジャーサービスについて「政治的問題に関する監督下に入る」という明確な意思表示となっている。
この規定に従い、中国で最も普及しているメッセンジャーアプリ「We Chat」も上述した通り、ウイグル自治区においてテロ用途に利用されたため、中国政府からの協力要請に全面的に応じ、自主的に情報提供、規制対象キーワード制限や一部アクセス遮断がなされている。
このような一連の中国政府としては看過する事のできない事象に対し、単なる技術的な面での是正が困難な事から、特にコントロールの効きにくい海外(香港含む)からのアクセスが多いLINEの全面遮断及びサービス是正勧告に踏み切った可能性が高く、単なるネットワークシステムの問題では無いため、復旧には相当な時間と対応工数が掛かるものと見受けられる。