弱い者いじめの法則から導かれた「ナンバーワン主義」

 ランチェスター法則を経営に応用する際、絶対有利の条件は実はナンバーワンになることだと田岡氏は指摘します。次の3つのいずれかのナンバーワンを目指すべきなのです。

(1)ナンバーワンの地域をつくる

 特定の経済圏の特定都市にでも、必ず一位のエリアを持つことです。そうすることで、市場の増加に対して、自社が最も恩恵を受ける場所をつくり上げることができます。逆にナンバーワンのエリアが一つもなければ、常に上位企業より少ない伸び率で我慢しなければならず、永遠に勝つことができません。

(2)ナンバーワンの得意先をつくる

 どの顧客でもいいので一番多い受注を任せてくれる関係の顧客をつくり上げること。顧客の成長に伴って、自社が一位企業であれば最大の恩恵を受けることになる。逆にどの顧客に関しても自社が下位ならば、常に上位企業側の売上増加が先に起こります。

(3)ナンバーワンの商品をつくる

 特定カテゴリ、もしくは専門化した用途でナンバーワン商品をつくり上げる。他の要素と同様に、すべての商品カテゴリで下位に甘んじていると、常に売上の伸びは上位企業に劣らざるを得ず、万年下位が固定化してしまいます。

 ナンバーワンをつくることはランチェスターの第2法則である「集中効果」の恩恵を受けることです。限定された部分でも、一位の立場は上位企業を超える売上増加を実現するきっかけになるからです。

 逆に、上位企業は自社の営業マンや販売店が多いため、商品のナンバーワンをつくり続けることで、規模の優位性を勝敗の分かれ目にし続けるべきなのです。