睡眠は、短か過ぎても長過ぎてもいけない

 暦の上では秋に向かっていますが、まだまだ残暑が続きますね。

 昼間は大分凌げるようになったけれど、夜、気温が下がらず、寝苦しいのがいかんという方もいらっしゃるのではないでしょうか。みなさんよく眠れていますか?

 猛暑の疲れを回復するのにも充分な睡眠をとりたいところ。しかも、睡眠はアンチエイジングに大いに関係があるのです。

 ほぼすべての生物の細胞の中にあって酸化還元反応でエネルギーを生みだす重要な働きをしているのがミトコンドリアです。ミトコンドリアは加齢によって損傷していくことなどから老化のカギを握っていると考えられています。

 では長い時間眠れば、その分長生きできるかといえば、そうでもない。短時間で深い睡眠を取るのが健康長寿につながるという意見もありますが、これも正しくない。

 ちょうどいい睡眠時間は7時間くらいで、5~6時間といった短い平均睡眠時間でも、8~9時間という長い平均睡眠時間でも心血管障害のリスクが高まり、死亡率が高いのです。

 もちろん長さだけではなく眠りの質も大事です。

 睡眠障害の代表的なものに睡眠時無呼吸症候群というものがありますが、この場合の無呼吸とは10秒以上呼吸がない状態で、これが1時間に5回以上または7時間に30回以上起こることが診断の目安とされます。短いとはいえ呼吸停止が何度も起きるので脳や心臓、血管がダメージを受けますし、交感神経の緊張が長く続き十分な休息が取れません。強度のいびきも気道が狭まって起きますので、呼吸に影響が出て眠りが浅くなります。睡眠時無呼吸が疑われるなら、早めに医師にかかるのがいいでしょう。

 そこまでいかないまでも眠りに満足できない人は相当数おり、日本人の約20%が不眠症で悩んでいると言われるくらいです。不眠は心血管障害など前述のリスクのほかにストレスホルモンの分泌を増やし、うつをおこしやすくするともいわれています。