「キャリアの階段」をつくって、ゴールを目指す
続いて、ステップ2です。登るべき山が決まったら、現在の位置からどのように山の頂上に到達するのかというルートを設計します。一足飛びに到達できないキャリアビジョンに対しては、「キャリアの階段」をつくることで、安全、着実にゴールを目指すのが最大のポイントです。
例えば、「起業」のようなキャリアビジョンに対して、企業経営の見識を持たない人が、いきなりチャンレジするのはたいへんリスクが高いでしょう。しかし、コンサルティング業界やベンチャーキャピタル業界などで企業経営の経験を積み、さらに起業しようと考えている業界で業務経験も積んだ後であれば、そのチャレンジは実現可能性の高い計画へと変わります。必要であれば、「キャリアの階段」の段数を増やして、安全、着実にゴールに近づけるように一歩ずつ登っていけばいいのです。
ただし、この頂上までのルートは慎重に考えて設計する必要があります。仮に、山のふもとからただ一直線に頂上を目指そうとすれば、その道程で大きな難所にぶつかる可能性が高いことは容易に想像できるでしょう。では、上手にキャリアの階段を設計するには、どうずればよいのでしょうか。
上手に階段を設計する方法
まずは、ゴールに至るキャリア全体を俯瞰して選択肢を考えることが大切です。登山で言えば、山全体を俯瞰して頂上に至るルートを考えることになります。ある職業に就こうとすると、出身大学や過去の職歴では応募できないといった“制約条件”に突き当たることがあります。そのような場合は、就きたい職業に固執するのではなく、キャリアの目的に立ち戻ることが大切です。そうすることで、目的を達成するためのさまざまな選択肢が見えてきます。例えば、起業のための経験を積みたいということであれば、戦略系コンサルに行かなくても、ベンチャーキャピタルやインターネット系企業などでもそのチャンスはあるのです。
また、早くゴールに至るようにキャリアを設計することが重要です。日のあるうちに山の頂上にたどり着けるように、道草を食うことのない最短ルートを設計します。そもそも目指すキャリアのゴールに至るのは、決して容易なことではありません。それにもかかわらず、あれもこれもと手を出して、途中で道草を食っている人が決して少なくないのが実態です。
さらに、自分の好きな領域で選択肢を考えることも重要です。ゴールに到達することだけでなく、ゴールに至るプロセスもまた人生です。暗く険しい山道を憂鬱な気分で登るよりも、ワクワクするようなルートで登っていかなければ楽しくありません。また、自分の好きなことをすることで早く成長できるものです。結果として比較優位性の高い、“明確な売り”を身につけることになり、人材市場で高い評価を得ることにつながり、目指す山頂に至るルートが切り拓かれやすくなります。