ルートを歩むために転職活動を成功させる
最後に、ステップ3です。キャリアの登山ルートを設計した後は、実際にそのルートに沿って山を登っていくことになります。ただ、設計したルートを歩んでいく中で、川を越えなければならなかったり、崖をよじ登らなければならなかったりと、登山の技術や装備が求められる勝負どころがあります。その時、難所を乗り越える技術や装備があれば、そのままスムーズに頂上を目指すことができます。
同様に、キャリアにおいても、自ら設計したキャリアパスを歩んでいくうえで大きなターニングポイントである「転職」を乗り越える技術・装備として、「選考対策」や「応募ルートの選択」といった転活リテラシーが存在しています。それを知らないと、せっかく設計したプランが「絵に描いた餅」になってしまいます。
例えば、応募書類の書き方ひとつで合否が分かれてしまうのが実態です。自身のスキルや志向を応募先企業に対して、わかりやすく、魅力的に伝えられるように、書類や面接の準備を念入りにすることは必要不可欠です。また最近では、筆記試験を課す会社も多いため、本来持っている実力を発揮できるように対策をしておく必要があるでしょう。
上手に人材紹介会社やヘッドハンターを活用する
さて、転職活動にはしっかりとした準備が必要であるとわかったところで、いよいよ情報収集、応募先検討、書類作成、応募、選考(書類・筆記・面接)、内定・交渉、入社という具体的な転職活動を行なうことになります。このプロセスを誰とどのように進めるかという「応募ルートの選択」は、重要な転活リテラシーです。ここでは、特に、人材紹介会社とヘッドハンターについて紹介します。
人材紹介は、企業からの求人案件の中から、転職を希望される相談者に適した応募先を、相談者と一緒に考えて選び、応募・選考・内定・条件交渉等の転職活動全般を支援するサービスです。クライアント企業から成功報酬で紹介料を得る仕組みのため、ほとんどの人材紹介会社では、相談者が無料でサービスを受けることができます。自分のキャリア設計について気軽に相談ができたり、特殊なポジションの求人情報を入手できたりすることが大きな魅力です。一方、的確なサービスを受けるために、相談者のキャリアとフィットした人材紹介会社を選ぶ必要があります。各人材紹介会社の特徴を調べるには、人材業界の専門誌『日本人材ニュース』のサイトが役立つでしょう。
ヘッドハンターを通じて人材市場と接点を持つ方法もあります。ヘッドハンターとは、企業からフィーを受け取って人材をスカウトするヘッドハンティング会社のスタッフです。ヘッドハンターは、データベースや口コミから候補者を洗い出し、さまざまな方法で候補者に連絡をとって面談を申し込みます。外資系のヘッドハンティング会社では、外資系企業の東京代表クラスなどの興味深い案件が舞い込むこともあります。ただし、ヘッドハンターの多くは、求人依頼枠に必ず誰かを入社させなければならない事情があるということも知っておく必要があります。提示されるポジションが必ずしも自分の目指すキャリアビジョンと合致しているとは限らないため、冷静に判断する必要があります。