注目していただきたいのは、「腐朽破損の有無(表8-4)」「敷地に面している道路の幅員(表8-5)」、「最寄り駅までの距離(表8-6)」である。

 腐朽破損は「無し」が76%であるが、「有り」と答えている世帯が14%ある。どのような腐朽・破損であるかは不明だが、安全面にも健康面にも問題のある住居に住んでいる世帯が生活保護世帯の約7分の1を占めているという事実は、決して軽視されるべきではないだろう。

 敷地に面している道路の幅員については、「接していない(3%)」「2m未満(8%)」と「2~4m未満(32%)」を合わせ、現行の建築基準法では住居を建築してはならない条件となる住居に住んでいる世帯が43%である。

「最寄り駅までの距離」は、徒歩で無理なく駅にアクセスできると考えられる500m未満が21%、1000m~1999mが28%、2000m以上が23%である。都市部と地方では事情がまったく異なるが、通勤・通学に関してハンディキャップとならない最寄り駅へのアクセスは確保されていないことが多いと考えても支障はないであろう。

 これらのデータから、「生活保護の住」の典型の1つをイメージしてみると、

「最寄り駅から徒歩20分程度、建築されてから20~40年程度を経過した木造アパートで、住んではいられるけれども『窓枠の一部が結露でカビて腐っている』などの問題があり、敷地の接している道路の幅は4m以下、近隣は同様の木造アパートが密集しており、震災の際には消火も避難も困難となることが予想される」

 といったものとなる。それは、筆者自身がよく知っている「生活保護の住」の一類型だ。

 2020年には東京オリンピックも予定されているというのに、日本の「住」がこのように貧困なままでよいのであろうか? 低所得層の危険な「住」を含んだ市街が日本のあちこちに放置されたままでよいのであろうか?

 筆者には、今行われるべき議論は、住宅扶助の金額に関する議論ではないと思う。現在までに明らかにされている範囲だけでも、現行の住宅扶助基準では「健康で文化的な最低限度」の住を実現できていないことは明らかではないか。

 もしも、2014年12月の予算編成に住宅扶助に関する何かを含めることが必要なのであるとすれば、国交省・厚労省の両省が共同して日本の「住」の底上げと最低線の確保を行うための調査と検討のための予算ではないだろうか? もしも「住宅扶助は見直しが必要」という結論を導くならば、上げるにせよ下げるにせよ、今後2~3年の時間をかけて徹底した検討を行う必要があるのではないかと筆者は思う。まだ、低所得層の住の実態のごく一部が明らかにされているにすぎない現在の段階で、「見直す」または「引き下げる」という結論を導くべきではない。

 次回は引き続き、第19回基準部会の議論について取り上げる。今回の基準部会では、冬季加算削減の可能性・夏季加算の可能性・母子加算の見直しの可能性・基準設定方式など多岐にわたる議論が行われた。各々の部会委員がどのような問題意識のもと、どのような議論を行っているのかは、より広く知られる必要があろう。