MECEのワナ(2):足し算だけじゃないのに…

 英語版Wikipediaを見ると、MECEとは「全体をそのサブセットに分けること」とあります。これはまさに嵌め込みパズルのイメージです。

 でも、そういった「足し算」ばかりがモノゴトの分解法ではありません。「掛け算」もあれば、「方程式」もあります。

 例えば、ラーメン店チェーンの売上高は、さまざまに分解し得ます。足し算型なら、

(1)売上高=Σ(都道府県別の売上高)
(2)売上高=既存店の売上高+新規店の売上高
(3)売上高=駅前型店舗の売上高+ロードサイド型店舗売上高

 いずれも完璧にMECEな分け方です。(1)では都道府県毎や地域別の調子がわかり、(2)では全体の伸びが新規店効果だけなのかどうかがわかります。(3)なら店舗立地別の伸びがわかるでしょう。

 でも売上高の分解には、よくこんな「掛け算」も使われます。

(4)売上高=店舗数×店舗当たり売上高
(5)売上高=顧客数×顧客単価
(6)売上高=従業員数×従業員一人あたり売上高

 どれもMECEであり、かつ、足し算では得られない、さまざまなことを教えてくれます。

 売上の伸び(もしくは停滞)はいったい何の効果だったのでしょう。店舗数が増えたお陰なのか、店舗当たり売上が増えたお陰なのか。顧客数が伸びたためなのか、客単価が上がったためなのか。はたまた従業員の生産性が上がったことが、理由なのかもしれません。(4)(5)を組み合わせれば、

(7)売上高=店舗数×店舗当たり顧客数×顧客単価

 もできます。かなり問題の把握がし易くなりました。さらにこれを、足し算の(2)と組み合わせて、

(8)売上高=既存店舗数×既存店舗当たり顧客数×既存店顧客単価+新規店舗数×新規店舗当たり顧客数×新規店舗顧客単価

 という方程式にしたらどうでしょう。既存店舗の改善状況と、新規店舗の寄与や状況がわかるようになりました。

 これらは完璧にMECEな分解法ですが、嵌め込みパズルではもう表しきれません(不可能ではないが、わかりにくくて意味がない)。

 だから、こういった「ロジックツリー」的な思考をするときには、嵌め込みパズルのイメージを捨てましょう。

 大きく足し算で分けた後は、空間に浮かぶ立方体を思い浮かべて、掛け算のイメージを膨らませませるのです。