なお、厚労省はこの資料で、「省エネ基準(「エネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断の基準(平成25年経済産業省・国土交通省告示第1号))」を援用し、省エネ基準による8つの地域区分ごとに冬季の光熱費増加と冬季加算の関係も検証した。省エネ基準では、九州南部や沖縄県のように夏季の冷房に関する需要が高い地域の需要も考慮することが可能ではある。しかし、この基準を用いた検討については、部会委員の園田眞理子氏(明治大学教授・建築学)より

「省エネ基準とは、『この地域ではこの程度の省エネをしてほしい』と、経産省と国交省が出した基準です」

 という指摘があった。冬季加算に関する議論では「必要性をどのように見積もるか」が焦点となっている。必要性をむしろ抑えることを目的とした省エネ基準を持ち込むこと自体が不適切であろう。壁に大きな穴のあいた、省エネ基準どころではない劣悪な住居に住んでいる人に対して、もしも「省エネ基準に基づいた分の燃料しか使ってはいけません」ということになったら、その人はどうなるだろうか? 寒冷地ならば本当に凍死してしまいかねない。

建物が劣悪ならば光熱費もたくさん必要
厚労省も明らかにした当然の傾向

 では、生活保護の「住」によって、冬の光熱費はどの程度増加するのであろうか?

 同資料の11ページには「検証(6)(住宅の状況等による冬季増加支出額の違い)について(原文ママ)」として、住宅の構造・住宅の所有関係・築年数・就業/非就業別に、冬季にどれだけ光熱費が増加するかを確認している。このページからは

「築年数による違いは大きくはないものの、新しい住宅ほど光熱費がかかりにくいようだ」といった傾向(同ページ右上)や、

「家族全員が就業・就学しているとしても、家族全員が就業・就学していない世帯の75%程度の光熱費はかかるようだ、『昼間は家にいない作戦』で光熱費を節約しようとしても25%程度しか節約出来ないらしい」

といった興味深い結果(同ページ右下)を読み取ることも可能なのだが、住宅の「出来」そのものによる違いを見てみよう。対象となっているのは、誰の目にも明らかな寒冷地であるI区~III区(北海道・東北・新潟県・富山県・長野県)である。

 11ページ左上の図には、木造(防火木造を含む)家屋では、鉄骨・鉄筋コンクリート造りの家屋の約1.7倍の光熱費が必要となることが示されている。これらの家屋には、生活保護世帯の約86%が居住している。また、比率は「0.5%」と少ないものの、ブロック造りの住宅では、鉄骨・鉄筋コンクリート造りの家屋の約2.7倍の光熱費が必要となることが示されている。