日常生活では見られない視点を得たいなら
サイエンス本は欠かせない
本を読むことは、自分の考え方のスケールを変える訓練になる。
たとえば『9・11の標的をつくった男』(講談社)を読んだ場合、どういった変化が考えられるだろうか。「9・11の標的」とはニューヨークにあったワールド・トレード・センターのことで、本の内容はそれを設計したミノル・ヤマサキに関する部分が大半を占めるが、これは高層建築について書かれた本でもあるので、読めば、高さ400メートル以上の建物を身近に感じられ、高さ400メートルから眺める景色はどんなものなのだろうと想像したくなる。その時点で、その人の視点は半径2メートルから脱し、高さ400メートルに達しているのである。
高さ400メートルの視点は、高い建物に上っても手に入る。しかし、読書を通じなければ得られない視点もある。
読む本が宇宙の本なら、スケールはメートルもキロメートルも超え、何光年という単位になる。1光年は約9.5兆キロメートルであり、人は自分の仕事机から何光年も離れることはできないので、その規模感は本でしか味わえない。
目の前の仕事からは得られない視点を持てないと、仕事のスケールは広げられない。だから、どんな仕事をしている人手も、これから役職が上がる可能性があり、それを望むなら、仕事とは無関係な本こそを読むべきなのだ。