石坂 そうだとうれしいのですが。

西條 元リッツ・カールトン日本支社長の高野登さんがあれだけ応援されているのもよくわかる気がします。実際、いくつかの非営利活動も含めて、これだけ意義のある活動をされている企業は、なかなかないですからね。「NHKプロフェッショナル仕事の流儀」「情熱大陸」などのドキュメンタリー番組にぜひとも取り上げてもらいたいですね。存在さえ知ってもらえたら、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」も受賞してください、となるのではないでしょうか。

石坂 いえいえ、そんなことないです。

西條 もっとも、自ら広告塔になるのも大変なんですけどね(笑)。

自律的に動く組織に
インストールすべき考え方

西條 石坂産業の場合、徹底した現場主義で、社内の巡回を続けられて粘り強く指導されることで、考える組織ができ上がってきたのでしょうか。

石坂 社員には問題意識を持ったら、それを具体的にする宿題を与えます。それが少し明らかになってきたら、より効果のある方法を考えさせます。そうすることで、一人でも多くの社員が自分で考えて動いてくれるようになればと思っています。

西條 僕のやっている「構造構成主義」という学問では、価値とは何か、方法とは何かなどの原理原則を明らかにします。たとえば、すべての方法とは、ある状況の中で、何らかの目的を達する手段です。そのため、どのような方法がよいかは、⑴状況と⑵目的を抜きに考えることはできません。方法の有効性は⑴状況と⑵目的に応じて決まる。これが「方法の原理」です。
 当時の被災地は、誰も全体の状況を把握することはできませんでしたし、避難所が統合されたり、移動したり、通じてなかった道が開通したりと時々刻々変化していきました。未曾有の災害において前例は機能しませんでした。
 そこで僕たちは、効果的な動き方と方法の原理を伝えて、あとは「状況と目的を見定めながら、その場で判断してください」としました。
 ただ「考えなさい」というより、状況と目的に応じて有効な方法は変わるから、その2つのポイントに着目して、よい方法を考えるという「考え方」を共有したほうが考えやすくなるんですよね。

絶体絶命のピンチを切り抜ける<br />「考える組織」をどうつくるか?<br />西條剛央×石坂典子対談<パート2>

石坂 なるほど。東日本大震災のとき、西條さんの「ふんばろう東日本プロジェクト」では10万人もの人が支援活動に参加できた背景には、そうしたゼロから考えるための方法があったんですね。

西條 組織の規模が大きくなった場合、経営者があらゆることをトップダウンで意思決定するのは限界があります。そこで必要になるのが「自律的に動く組織」です。

石坂自ら考え、行動する組織ですね。これからも社員一人ひとりが自分で考える組織を目指して工夫を重ねていきたいです。