「接触頻度」の高いものだけが脳に定着する
そこで初めて「暗記できている」というのはどういうことなんだろうと考えました。頭の中にいつでも取り出し可能な状態で情報が入っているようにするにはどうすればいいかを探っていったのです。
脳科学の研究から明らかになっていることですが、脳が暗記するのは、それが重要か重要でないかとは関係なく、単純に「接触頻度」が高いものだといいます。
脳は「これは重要だから覚えよう」「これは不要だから忘れよう」というような記憶の仕方をしないのです。それよりも、くりかえし接した情報が自然に定着していきます。
みなさんも、とくに覚えようと意識していないのに暗記できていることもあれば、反対に、大事なことだけれど暗記できていないことがあるのではないでしょうか。
たとえば、昔、ガラケー(ガラパゴス携帯)を使っていたとき、いちいち登録するのが面倒で、電話帳のデータベース機能を使っていなかったのですが、そのときに、自分の携帯の電話番号は覚えていないのに、いつもよく電話をかける相手の11桁の番号は自然に覚えていました。
自分の電話番号ほど大事な情報もないものですが、それなのに記憶に差が出るのは、単純に接触頻度が高いかどうかの違いでしかありません。