しかし、何が特別かなんて、結局はその企業にしかわからないことです。だから、極端なことを言えば、「これは自社にとって特別だ」と考えれば、特別損失に持ってくればいいわけです。

銀行は自己資本比率も見ている

 さて、営業利益のほかにも銀行が見ているポイントがあります。それは「自己資本比率」です。ここでは「自己資本比率を高くする」ことを考えましょう。

「自己資本比率=自己資本÷総資産」の計算式から、自己資本比率を高くする方法は2つあります。(1)自己資本を増やすか、(2)総資産を減らすかです。

(1)自己資本は、単年度の純利益の積み重ねです。これを短期間で一気に増やすのは大変ですね。コツコツと時間をかけて積み上げていくしかありません。

 一方、(2)総資産は、無駄な資産を減らすことによって縮めることができます。B/S(貸借対照表)の左側の無駄な資産を処分・削減すれば、その分、総資産全体が縮み、自己資本比率が高くなっていきます。

 処分に伴って大きな損失が発生した場合は、一時的に自己資本比率が縮むことがありますが、心配ありません。数年後には、元より高くなっています。

 では、具体的にどうすればいいのでしょうか。

 B/S(貸借対照表)の左側(資産)を上から順に見ていきます。現預金、売掛金、在庫、建物、土地、投資、電話加入権……必要以上に多いものがないか、じっくりと考えるのです。これまでの自社の方針が、売上や資産の規模ばかり追いかけてきたなら、間違いなく無駄な資産があります。

 月商分以上の余分な現預金は持たない、売上債権(受取手形や売掛金)の回収期日を短縮する、仕入れ、発注方法を見直して余分な在庫(棚卸資産)を持たないようにする、建物、土地、投資その他の資産を売却処分するなど、総資産を縮める方法はたくさんあるのです。