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iPhone対ブラックベリー
スマートフォン最終戦争の行方

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第16回】 2008年10月8日
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 iPhoneだけではない。マイクロソフトも、ウィンドウズ・モバイルOSを各メーカーに売り込むのに必死だ。近く、同OSを搭載し、企業ユーザーに的を絞ったスマートフォンをヒューレット・パッカードが発売することも明らかになっている。

 スマートフォン市場全体の変化も重要なポイントだ。ガートナーによれば、2009年の出荷数は2億8800万台と予想されているが、これは2007年の2倍。携帯市場の伸びが鈍化しているのとは対照的な伸びだ。しかも市場が拡大している背景には、ユーザーの中心層がこれまでの企業ユーザーから、今や一般消費者に移っているという事実がある。

 現にブラックベリーのユーザーも40%が一般消費者だ。RIMは、昨年から一般ユーザーを意識した折りたたみ式やデザイン性を重視し、価格も安いモデルを発売し始めた。今後企業市場、一般市場の両方で強力なモデルとサービスを提供できなければ、生き残っていくことはできないわけで、RIMは自社のDNA を書き換えることを求められているのだ。

 実はRIMは、今年中にブラックベリー・ボールドの他にも数モデルを市場に投入する。そのうちの2モデルは、iPhoneに似た大型タッチスクリーンを持つことになりそうだ。ボールド自体、これまでのブラックベリーの機能に加えて、鮮明なスクリーン、インテルのPXA270プロセッサーを搭載した高速性、インターフェイスの改良などを加え、マルチメディア対応性もしっかり抑えている。

 iPhoneの強みに真っ向から競争を挑む構えだが、アップルもキャリアと共同で企業への格安バルク販売に乗り出している。新製品の開発で、研究開発費、マーケティング費がかさみ、RIMの経営には圧力がかかっている。また、金融業界の顧客が12%を占めるという同社のほうが、アメリカの景気減速のあおりをもろに受ける可能性が高い。

 拡大する市場、縮む経済、機能が複雑化する携帯機器、新規プレーヤー参入といったいくつもの変数の中で、スマートフォン市場の闘いはこれからますます熾烈さを増していく。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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