心臓病手術の先駆者
湘南鎌倉総合病院

 カテーテルは当初、足の付け根の太い血管から挿入していたため、出血リスクと背中合わせで行われてきた。この問題を解決したのが手首の血管から挿入する「TRI」だ。1992年にオランダで開発されたTRIは出血量が少なく、手術直後でも患者が動けるなどの利点がある。 

湘南鎌倉総合病院の齋藤副院長(右から3人目)は海外でも有名。写真はエクアドルでのライブ手術後の様子

 開発から3年後、このTRIを国内へ初めて導入したのが「湘南鎌倉総合病院」(9位)で循環器内科部長を兼任する齋藤滋副院長だ。さらに最も困難といわれる冠動脈の慢性完全閉塞(CTO)へのTRI応用も齋藤副院長の考案した技だ。

 国内外での論文発表や海外40ヵ国の病院・大学などでライブ手術も公開してきた。また、TRIだけでなく、TAVIの経験も豊富だ。

 一方、技術の検証・向上にも余念がない。病院勤務や国内外への出張の合間を縫って国際共同臨床試験を行うNPOを立ち上げ、ホームページでさまざまな試験結果を公開している。結果は現場にも反映されており、5年前のカテーテル比較試験の「細い管は合併症が少ない」という結果もその一つだ。

 現在はTRIを検証するため、日米欧の18病院が参加しており、1600~1700人の患者を対象に臨床試験を実施中だ。さらに急性心筋梗塞などのカテーテル治療で使うステント(金網状の筒)の比較臨床試験も行っている。主に欧米の患者約1400人を対象に「BMS」(従来のステント)と「DES」(薬剤溶出ステント)を比較・検討しているという。

 11年には国内で初めてDESの進化型「BVS」(非金属製)の留置に成功。昨年2月には米国に先駆け血管形成を促す特殊なステントの留置にも成功した。

 理工系志望だったことから物事を論理的に捉えるものの、技の極意を伝えるのは苦手らしい。

 元弟子の一人、新東京病院の中村院長は「感覚で伝えるプロ野球の長嶋茂雄・元巨人軍監督のような人」と言う。齋藤副院長も「カテーテルを持つと体が勝手に反応する。こればっかりは説明しようがない」と笑う。天才といわれるゆえんだろう。

 なお、ダイヤモンドQでは、「心臓病に強い病院ランキング」を患者数、手術数、専門医数、医療体制のデータを含め、300位まで掲載している。詳しくは本誌を参考にしてほしい。

●ランキング表の作成方法と見方
◎対象:DPC対象病院(1803)
◎調査方法:患者数と手術数、医療体制の一部(地域医療指数)はDPCデータ(2013年度)、専門医数は学会のホームページ、医療体制は各厚生局に公表されている施設基準からデータを取得した。調査期間は14年10月。DPCデータの提供・分析、専門医数の調査の一部は、リーズンホワイの協力を得た。
◎指標の説明と配点
【DPC病院基礎点】(50点)
→DPC対象病院の実績を評価し、全てに基礎点として50点を加点
【医療の実績と体制の評価】(50点満点)
①患者数:17.5点満点
②手術数:17.5点満点
③専門医数/病床数:7.5点満点
④医療体制(施設基準など):7.5点満点
※医療体制(施設基準など)の内訳
・急性心筋梗塞の24時間診療体制(DPCの地域医療指数):5.0点
 →24時間体制で緊急手術などにも対応できる
・ 冠動C:1.0点
 →高度な画像診断ができるCT撮影装置と医師がいる
・ 心Ⅰ:1.5点
 →心臓のリハビリテーションで最も難易度が高い基準を取得
①~③は、最大値を満点として、比率で算出。④は急性心筋梗塞の24時間診療体制の指数の最大値を満点として比率で算出。各施設基準を取得している場合は、その配点分を加点した。
※得点は小数点第2位以下を四捨五入している。このため同得点でも順位は異なる。