では、こう言い換えたらどうでしょう?
「皆さんは手作業で経理業務をされていますが、パソコン会計システムを導入すれば、通常の経理業務だけでなく、在庫管理から給与計算まで一括管理できます。操作方法はとても簡単で、個人事業主の方々の評判もいいんです。御社では顧問税理士による月決算もされているので、クラウド型はもってこいですよ」
商品(パソコン会計システム)のセールスポイントは同じですが、相手が受ける印象は大きく異なります。
「聞きたいこと」から話す
相手に「利益」をはっきり認識させるには、相手が聞きたがっていることから話すのが原則です。
そうしないと、聞き手は欲求不満に陥ります。たとえば、こんなケース。
会社説明会で、人事部の役員が熱弁をふるいます。
「当社は100年の歴史を誇り、……歴代の会長は経済団体のトップを務め……バブル崩壊による業績悪化からいち早く抜け出し……福利厚生の充実度は業界ナンバー1……近年、海外展開を積極的に進めており……」
長々とこんな話を聞いて、入社への意欲がわくでしょうか?
話の前半は、この会社が長い歴史をもつ、リーディングカンパニーであることを訴えたいのでしょうが、それなら参加者との接点をもっとはっきりさせる必要があります。
たとえば、「伝統によって得た信頼を背に、あなたたちはプライドをもって働くことができます」などと語るべきです。
そして、もっと大切なのは、参加者が聞きたがっていることから先に話すことです。
もし、会社がグローバルな人材を求めているなら、その人たちに向けて「皆さんは、当社に対してどんなイメージを抱いていますか? たぶん、安定した老舗企業といったところでしょう。しかし、グローバルに活躍したい皆さんにとって、海外展開を積極的に推進している当社は……」というような言い方ができるはずです。会社の沿革などに言及するのは、このあとで十分でしょう。