機械を買うのにローンを組みます。もしくは、金利がもらえる銀行預金をおろして(そのもらえるはずの利子を捨てて)、機械を買います。

金利が高いと、企業にとってはコストが高くつくので、儲かりづらくなります。となると、「あの機械ほしいけど、金利が高いからなぁ」といって、買うのをやめます。反対に、低金利だったら、儲かりやすくなり、設備を導入しやすくなりますね。

 たとえば、A社が機械設備を導入しようとしているとしましょう。この機械を導入すると、A社は毎年5%儲かります。でも、A社はこの設備を買うために、金利を払わなければいけません。金利がいくらだったら、A社はこの設備を買うでしょう?

 金利が5%より低かったら買う?

 その通りです。金利が5%より低かったら、「設備を導入したら儲かる」となりますね。反対に5%より高かったら、「導入したら儲からない」となります。

 もちろん、本当のビジネスはこんな単純ではありません。いろんな要素や条件がいろいろ重なって「買う・買わない」を決めます。しかし、だとしても金利が高ければ導入しづらくなるという状況は同じです。金利は企業が機械設備を買うかどうか、工場を建てるかどうかの重要なポイントなんです。

 なるほどね。で、何の話だっけ?

「企業の需要」を増やすためにはどうすればいいか、という話です。ここまでである程度見えてきましたね。

●企業が買うのは、ビジネスに使う設備など
●企業は金利が低ければ、設備を買いやすい。金利が高ければ、設備を買いづらい

ということです。だとしたら、企業がもっと設備を買うようにするには、どうすればいいでしょうか?

 金利を下げればいい!

 その通りです。企業が買う設備も「商品」で、それを売って生計を立てている人たちがいます。そういう意味では、高級レストランが流行ったり、自動車がたくさん売れたりするのと同じで、設備がたくさん売れたり、工場がたくさん新設されれば景気が良くなるのです。「企業の需要」を増やすことで景気を良くする、ということもできるんですね。

 そして、政府が企業の需要を増やそうとするときには、金利を下げることを考えるんです。金利が下がるような政策を打ち出すわけです。もしくは、企業が設備を買うと優遇を受けられるような制度をつくります。

 たとえば、設備を導入した企業の法人税を安くする、などの制度ができたら、企業はうれしいです。金利を直接変えなくても、「実質的に、この設備を買った方が得」と思うようになれば、企業は買いますよね。

 個人の需要を増やすためには、その人の給料を増やすのが一番でした。そうすれば、もっと買い物をします。企業需要を増やす場合は、「これを買った方が得! もっと儲かる!」と思わせればいいということです。