海外への脱出が流行
“異変”を感じ取る中国の人々

 中国の友人と話をすると、彼ら自身が中国政府をあまり信用していないことが分かる。「裕福な中国人の多くが一族郎党をカナダに亡命させた」、あるいは「米国籍を取るために、妊婦が米国に旅行して米国で出産するツアーが流行っている」などの声を聞くことが多い。

 特に米国籍取得のためのツアーはかなり盛況のようで、それを見た米国の当局が一斉に取り締まりを実施したとのニュースも出ている。

 そうした動きの背景には、中国の人々が、中国経済の異変とそれに続く社会全体のリスクの高まりを敏感に受け止めていることがあるのだろう。昔、中国人の留学生が、「中国の歴史は支配者である王朝の衰退と、それを倒して新しい王朝を作る流れだ」と言っていた。

 中国は、その流れを4000年以上にわたって行ってきた。100年やそこらで、その歴史が変わることはないだろう。彼の意図するところは、「共産党政権がいつまでも続くとは考えていない。いつかまた新しい仕組みができる」と考えられる。

 足元で中国経済の高成長は終焉を迎え、人々が手にすることができる“分け前”は減ることになる。それに加えて、1979年から実施した一人っ子政策によって、中国は今後、急速に人口構成が歪むことになる。

 人口構成が大きく変化すると、15歳から64歳までの働き手=生産年齢人口の割合が低下する。働き手の減少は経済活動にとって決定的な要因になり得る。また、政策の影響で、新生児の中で男の子の比率が、女の子の割合を大きく凌駕していることも社会を不安定化させる可能性がある。

 また、大きな経済的蓄積を持たない国民が、これからリタイアメントを迎えることも懸念材料になるだろう。そうしたファクターを総合的に勘案すると、長い目で見て、中国は今後、大きな社会の仕組みの変革がある可能性が高いと考える。

 その場合には、現在の共産党一党独裁体制というレジームが大きくシフトすることになるかもしれない。