サンフランシスコ市街。写真の先頭の黒いクルマが、Lyftの会員。ピンクの飾りがLyftドライバーの証明になる Photo by Kenji Momota

 そして3月12日、楽天が米ベンチャーのLyft(発音は「リフト」)に対して、3億ドル(約360億円)を投資とのニュースリリースを出した。

 LyftはUberのライバルとして知られる企業だ。Lyft側も同時に、楽天からの出資を歓迎する旨のニュースリリースを出している。本稿執筆時点では筆者として、Lyftが日本で事業を行なうかどうかについて、両社からの確認は取れていない。

 このように、アメリカ発の「シェアライド」について、日本で一気に注目が高まっている。今後、各種メディアで「Uber vs Lyft」といった類の報道が増えると予測される。

 また、本連載でこれまでご紹介しているように、筆者は世界各国で自動車産業や交通システムの現場を見てきた。日本では、超小型モビリティ等、シェアライドを含めた新しい交通システムの構築について、中央官庁、地方自治体、自動車等の製造者らへの取材、または記事化を条件としないコンフィデンシャルな意見交換を行なっている。

 そうしたなか、UberやLyftが誕生した社会背景、そしてシェアライドを含めた新しい交通システムが進むべき方向について、筆者としての意見を述べたいと思う。

Uber、Lyftの誕生は「必然」
日本では考えられないアメリカのタクシー事情

 筆者は1980年代半ばから全米各地を巡っており、現時点で全50州のうち48州の中規模以上のほとんどの都市で宿泊、またそのなかのいくつかの都市で生活してきた。

 当然、タクシーも数多く使ってきたが、例えば空港からホテルや自宅等へ向かう場合は、不快な経験をしたことは少ない。一方、ホテルでタクシーを頼むと、時間通りに来ない、いつまで経っても来ない、そしてホテルと連携した“事実上の白タク”が来る。これは2015年時点でも同じ状況だ。

サンフランシスコ市街。タクシーはなかなかつかまらない Photo by Kenji Momota

「まさかアメリカでそんなことが」と、日本人は思うかもしれない。だが、一般乗用車とレンタカーが広く普及し、さらに公共交通があまり発達していない(または低所得層の乗客が多いため、中間層以上が利用を敬遠する)アメリカは、いまでも“タクシー後進国”なのだ。

 こうした思いを、多くのアメリカ人が持っている。面積が狭く渋滞も激しく、さらにタクシーの絶対量が少ないサンフランシスコでも同じだ。UberもLyftもサンフランシスコで創業しているが、これは地理的にシリコンバレーに近くソフトウエア開発者を集めやすいことも当然あるが、「タクシー事情が悪い=アメリカが抱えるタクシー問題解決に最適の場所」という面も大きい。