実勢価格より高いポスター代の公費負担と
期間の長短に関わらず適用する地方選挙

 こうした算式で各自治体のポスター作成単価(上限額)が弾き出されることになっているが、なぜ、こうした算式が採用されたのかは不明である。この問題に精通する愛知県豊川市の倉橋英樹市議は、「ポスタ―代金の多くはデザイン校正版下代なので、枚数が増えようが金額にそう大きな違いは生じません。国の限度額の計算方式はポスター作成の実情を反映したものになっていません」と語る。つまり、実勢価格より高くなっていると指摘するのである。

 いずれにせよ、ポスター作成単価(上限額)に作成枚数の上限数を乗じた額が、公費負担の上限額となっている。選挙ポスターはポスター掲示場にしか貼れないのだが、国の基準ではその2倍まで公費でポスターを作成できることになっている。長い選挙運動期間中に破損してしまったポスターを貼り換えたり、最初からデザインを替えた2種類のポスターをつくることを想定しているようだ。ちなみに、衆議院選挙の選挙運動期間は12日間で、参議院選挙は17 日間である。

 一方、地方選挙の選挙運動期間は種類によって様々である。都道府県知事選は17日間、政令市長選は14日間、都道府県議及び政令市議は9日間、一般の市区の議員選と首長選は7日間、町村の議員選と首長選は5日間となっている。つまり、知事選と政令市長選以外は国政選挙よりも選挙運動期間が短い。

 こうしたことから、自治省(当時)選挙部管理課は1993年1月にある通達を出していた。「地方公営に係る留意事項」というもので、公費負担の限度額について「国政選挙における公費負担の限度額の算出方法により算出した額を上限とし」と明記した。そして、ポスター作成枚数の限度については、「国政選挙に比して選挙運動期間が短い選挙にあっては、ポスター掲示場数を作成枚数の限度とすることが適当である」と、指針を示していた。

 ところが、現実はこの通達通りとはなっていない。都道府県と政令市の議員選挙は9日間と、国政選挙よりも短期間ながら、ポスター枚数の上限は国政選挙と同様に掲示場数の2倍になっている。たとえば東京都である。

 東京都では、都議選と区市議の選挙区はほとんど重なっている。2つの選挙は同じ選挙区域で実施されながら、ポスターの上限枚数は都議選が掲示場の2倍、区議選や市議選は1倍となっている。選挙期間がわずか2日間違っただけで、ポスター枚数の上限に2倍もの差がつくられているのである。