日本経済にしても米国経済にしても、またそれを映す株価、為替相場、金利(債券相場)、金や原油など商品価格などここ3~4年の間に値動きのパターンが変わってきており、過去の事例や経験則が当てはまらなくなってきている。それをもたらしたのが、ヒト・モノ・カネが国境を越えて自由に行き来するという「金融経済のグローバル化」であり、そこにインターネットなど通信情報網の飛躍的な発達が加わることで経済のあり方、それを映す金融市場の規模と価格の反応がこれまでにないものになっている。
グローバル化で
“懐が深くなった”世界経済
世界経済は日本や中国を中心とするアジア圏やEU(欧州連合)や北米というふうに各地域、各国それぞれが密接に繋がり他地域と互いに補完しあいながら成長するという新しいパターンが生まれている。
社会主義など政治的思想(イデオロギー)での区分けは後退し、市場経済という大きなくくりの中に世界各国皆が入っている。この大きな枠組ができたことで、例えば従来ならば年々膨れ上がり維持不可能と思われた年間8千500億ドル(約93兆円)にもなろうという米国の巨額の経常収支の赤字(大半が貿易赤字)ですら、他国からの資金が投資マネーの形で米国に入ることで賄われ「ドルの暴落」などという事態には至っていない。
米国の赤字の絶対額だけを切り取った場合、これまでの常識では“とんでもない数字”ということだが、世界経済全体が急拡大したいま、赤字の相対的な位置関係はむしろ小さくなっていると考えるべきなのかも知れない。
日米の金融緩和と
新興国の成長加速
そして世界経済急拡大の立役者が新興国と呼ばれる中国やインド、ロシアや東欧圏またブラジルそしてサウジなど湾岸産油国などだ。人口大国を含むこれらの国々を取り込んだことで40億人近い人々が市場経済の仲間に加わった。