自分でつくって食べてみるのが
料理上手への近道
それでは、おいしくつくるにはどうしたらよいのでしょうか。
今まで大地に生きていた野菜を、わたしたちは食べるときにゆがきますが、“ゆがく”というのは、たっぷりのお湯に入れてやわらかくなる前にさっと取り出すこと。
やわらかくなるまでおくと、“ゆでる”になってしまいます。
ゆがくとゆでるは違います。
程度によりますが、ゆでるのではなく、ゆがくようにすれば、香りも歯ごたえもあって、とってもおいしい。
そして、その野菜は口を通して体に入り、わたしたちのいのちといっしょに生きていくわけですね。
“いのちのうつしかえ”
が起こる瞬間とは?
「どんなときに、さっと取り出せばいいのでしょう?」
そんな質問がありました。
野菜をゆがきながら、じっと見ていると、今までの緑がいっそう輝くような緑になる瞬間があります。
このときに茎を見ると、透明になっています。このときがいちばんおいしいんです。これが“いのちのうつしかえ”ですね。
ただ漫然とやっていると、ただやっているだけになりますが、そうして心してやっていると、野菜もいのちだと感じられるようになりますし、それが発展して、人も透明であることが大切だというふうにいきつくわけです。
お料理上手になるには、まず自分でつくってみて食べてみることでしょうね。
わたしは自分がおいしいものを食べたいので、一生懸命に、おいしくつくるようにしています。
自分で煮たり焼いたりして、これはもうちょっと塩を強くしたほうがいい、やさしく煮たらいい、と感じたらよいでしょう。
やってみて、それから味を見ること。味見をしなければ、ただつくっているだけになりますから。
お魚を煮るときも、ただスープをつくってそれで煮てしまうのではなく、その前にどういう味がいいかなと考える。
味見をして、どうすればいいのかわからないときは、一歩先をやっている人に塩、しょうゆはどうか、相談してみましょう。
そうしながら、自分の味をつくることに一生懸命やってみてください。