おいしくつくるコツは
たった2つだけ

 実は“一味違う”料理をつくるのに、コツがあります。
 それは、お出汁をしっかりとること。それから、いろいろな調味料を使うことです。

 わたしの場合、お出汁はいわしなどの小魚のはらわたをとって焼いて干した“焼き干し”、はらわたをとらずに煮て干した“煮干し”、そしてたっぷりの昆布を使います。

 出汁がしっかり出るように焼き干しは砕いたり、沸騰する直前に昆布を出したり、細かい心遣いをしながらしっかりととると、これだけでスープとして飲めるくらいおいしくなります。

 液体なので飲みやすいですし、体のすみずみまで浸透していくので、病人やお年寄りにもおすすめです。

 わたしのおばも、病床でわたしのおつゆが飲みたいというので、この出汁を届けました。
 とったお出汁は、味噌汁はもちろん、切り干し大根やひじきの煮物など、たくさんのお料理のもとになります。

 出汁をとり終わった昆布は食べやすい大きさに切り、しょうゆや酒と煮込んでつくだ煮にするといいでしょう。

 いつか『森のイスキア』で、お客様にお出しするきんぴらごぼうのごぼうが足りずに、この昆布をごぼうと同じ大きさに裂いて入れたら、思いがけず好評で、また同じメニューをリクエストされたこともありました(笑)。

 いろいろな調味料を使うというのは、たとえば、わたしはおむすびで余ったのりをしょうゆと酒と水で煮て、つくだ煮をつくりますが、このときに使うしょうゆも、1種類だけでなく、甘いもの、辛いもの、と何種類か使うのです。

 そうすると、味に深みが出て、とてもおいしい。
 分量は味見をしながら、もう少し甘くしたほうがいいな、すっきりさせたいな、などと考えながら自分好みの味に仕上げていくことです。