それが2000年代に入り、プロパー社員から社長が選ばれるようになり、現在の吉永社長で3人目となる。小規模でも生き残る方向へと、「集中と選択」経営に舵を切り、ニッチでもスバルの存在感を出す運転支援技術「アイサイト」の訴求などが実を結びつつある。特に自動車業界では珍しい営業出身者の吉永社長が、強い技術屋集団を尊重しつつ、スバルに求められるニーズをブランド化に結び付ける取り組みを進めている。

スバルはどこへ向かうのか
真に「際立つ」ための正念場

 それでは、スバルがこれから目指す方向とは、どこだろうか。

 スバルは、現在2020年に向けた中期経営ビジョン「際立とう(きわだとう)2020」を進めている。それはスバルが、自動車メーカーとしては小規模であるものの、持続的に成長していくために、「大きくはないが強い特徴を持つ質の高い企業」を目指すというもの。その実現に向け、「スバルブランドを磨く」「強い事業構造を創る」という2つの活動に集中的に取り組み、付加価値経営をさらに進め、環境変化への体制を高める、というものである。

 2020年の収益イメージとして、安定的に業界最高位の営業利益率を確保し、持続的成長により「世界販売台数110万台+α」「売上高3兆円+α」を実現するとしている。

 つまりスバルとしては、かつて「プレミアムブランドを持つグローバルプレイヤーを目指す」と謳ったプレミアムブランド戦略よりも、独自の技術(水平対向エンジン・四輪駆動に運転支援システム・アイサイトなど)を生かした「スポーティ」ブランドの確立を目指していくということだろう。

 また、パワートレインの多様化、電動化への流れという側面では、スバルの水平対向のプラグインハイブリッド(PHV)を開発中だという。SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)分野を中心としたラインナップを、強化していくことになる。

 世界市場戦略としては、「北米一本足打法になり過ぎているのでは」との見方も出るなかで、北米を最重要地域としながらも、日本国内や中国での販売強化を課題とする。国内営業本部長を経験した吉永社長が、営業面をどれだけ強化できるか、その手腕が問われる。

 いずれにせよ躍進を果たしたスバルだが、真に「際立つ」ための正念場はこれからだ。北米での成功をいかにトータルへの成功に繋げていくことができるか。奇しくも同社は、新宿西口に約半世紀も構えてきたスバル本社ビルを売却し、2014年8月に竣工した恵比寿の地、新エビススバルビルに移ったばかり。山椒は小粒でもぴりりと辛い――。新本社とともに、スバルは次のステップを踏むことになる。