保険や高齢者支援など、
IoTを生かせる分野は幅広い

 ほかにも、保険や健康管理、高齢者支援など、IoTを生かせる分野は数多くあります。

 代表的な例を挙げてみましょう。

 保険では、自動車の走行情報をリアルタイムに収集し、毎月の保険料を走行距離に応じて計算する自動車保険が注目されています。

 薬の分野では、センサーをつけた薬を利用して、そこから得られるデータを分析することで、薬の摂取状況や体の状態を知ることができる「生体情報の収集・分析・管理システム」の取り組みが行われています。

 トイレにセンサーをつけ、健康管理に利用するというアイデアもあります。用を足すだけで体重や血圧はもちろん、尿検査や細菌検査などもできるようになれば、とても便利ですね。

 高齢者支援にも活用の道は大いにありそうです。室内の温度管理や鍵のかけ忘れの確認など、高齢者の遠隔管理などに応用して、高齢化社会に対応していくべきです。

 あと十数年経てば、中国や韓国、おそらく米国も日本と同じ問題を抱えることになるでしょう。その頃までに日本は高齢化社会のリーダーとして、さまざまなサービスを創出しておきたい。私は「ピンチはチャンスだ」といつも言っていますが、今こそ日本のチャンスなのではないでしょうか。

印刷技術の発明が
医療の飛躍的な進化をもたらした

 イノベーションを考える場合、IoTによって世の中がどのように変わっていくのかを見極める力も必要です。

 ドイツのヨハネス・グーデンベルクが発明した印刷技術によって、世の中に多くの本が出回るようになり、文化や科学などの発展に大きく貢献したのはご存知の通りです。しかし、じつはグーデンベルクの発明は、本人が想像した以上に大きく世の中を変えたのです。

 多くの人が本を読むようになって近視になる人が増えたため、眼鏡が発明されました。さらに眼鏡が顕微鏡の発明につながり、体の中に入り込んで病気を起こす細菌の発見に至りました。つまり、印刷技術の発明は医療の飛躍的な進化をもたらしたのです。

 私は、こうしたイノベーションのセカンダリーエフェクト(二次的影響)を考えるのが楽しくて仕方ありません。IoTのセカンダリーエフェクトで何が生み出され、世の中をどう変えていくのか――あなたもぜひ、想像してみてください。そこには、世界を変えるようなイノベーションのヒントが隠されているかもしれません。