予備軍を含む糖尿病患者にとって、食後の高血糖は血管ボロボロ一直線の危険因子だ。
最近は食後高血糖を抑える糖質制限食が注目されているが、先頃イスラエル・テルアビブ大学から新しい方法が提案された。
研究者らは、2型糖尿病を発症してから10年以上たっている男性8人と女性10人を2グループに分け、1週間ずつ「Bダイエット」と「Dダイエット」を実行してもらった。参加者は血糖を下げる薬も飲んでいる。
Bダイエットは、朝食が約700キロカロリー、昼食が約600キロカロリー、そして夕食は約200キロカロリーという「朝ご飯重視」の食事療法だ。一方、Dダイエットは、朝食と夕食の摂取カロリー数を入れ替え、朝食約200キロカロリー、夕食約700キロカロリーの「夕ご飯重視」型。昼食は同じ約600キロカロリーである。
肝心のメニューはというと、高カロリー食はパンが2枚、ミルクにツナ、卵など。カロリーを抑える場合はターキーの胸肉、チーズにサラダ、コーヒーだった。
参加者は6日間、自宅でそれぞれのダイエット法を実行した後、7日目に来院して食事を摂り、朝食前と各食後に採血をした。さらに2週間をおいて、ダイエット法を交換し、再び同じように実行してもらった。
その結果、BダイエットはDダイエットに比べ、食後の血糖が20%低下することが示された。また、Bダイエット中は、血糖をコントロールするインスリン濃度が上昇したほか、食後高血糖を抑え、食欲中枢への刺激を抑えるGLP‐1というホルモン値の上昇が認められた。
しかも、同じカロリーを摂取した昼食後でも、Bダイエットの血糖上昇率は平均23%抑制されたのだ。研究者は「高カロリーの朝食を摂り夕食を低カロリーにすると、1日中、食後の血糖を抑えられる」としている。
近年の研究では、食後血糖値の変動幅が大きいほど心血管系へのダメージが大きいことがわかっている。シンプルなカロリー制限食や糖質制限食が辛い人は「朝食がっつり、夕食あっさり」でメリハリをつけるといいかもしれない。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)