アメリカのIT革命で新しい事業分野を開いたのは、ベンチャー企業であった。それらベンチャー企業を育てたのは、ベンチャーキャピタルである。それは、いかなる組織であり、ベンチャー企業の発展にとってどんな役割を果たしたのか?

先進国の中でも起業率が
著しく低い日本

 ベンチャー企業の動向については、グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)の調査がある。これは、1997年に、アメリカのバブソン大学とイギリスのロンドン大学ビジネススクールの起業研究者たちが、「正確な起業活動の実態把握」「各国比較の追求」「起業の国家経済に及ぼす影響把握」を目的として作ったプロジェクトチームだ。

 2013年の調査結果は、「GEM 2013 Global Report - Global Entrepreneurship Monitor」として公表されている。

 GEMの調査項目の一つに、「起業活動率」(Total Entrepreneurship Activity:TEA)がある。これは「起業の準備を始めている人と、創業後3.5年未満の企業を経営している人」が18~64歳の人口100人当たりで何人いるかを示したものだ。

 先進国についての13年の値は、図表1に示すとおりである。アメリカは12.7%だが、日本は3.7%でしかない。先進国中では、イタリアについで低い水準だ。

 旧社会主義国での起業率が高いのはある意味で当然だが、カナダ、シンガポール、オランダ、アイルランドなどでの起業率も高いことが注目される。

 日本で新しい企業が生まれにくいことはしばしば指摘されるが、この図もそれを明確に示している。