少年から暴力、公園からの排除も
ホームレスが晒される生命の危機

パソコンを使用して事務作業や連絡を行う、営業担当・小林大悟さん(左)と相談スタッフ・石井孝洋(右)さん。ときおり明るい笑いが弾ける中で、作業が手際よく進められて行く
Photo by Y.M.

 冒頭で述べたとおり、ホームドアは2010年に設立された団体だ。ヴィジョンは「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造を作る」。現在のホームドアは、生活支援・就労支援・啓発活動を中心に9つの事業を展開している。

 通常、「ホームレス支援」として思い浮かべられる活動は、「炊き出し」「夜回り」、さらに「生活保護申請の支援」であろう。これらの活動はすべて、生活支援に含まれているが、より正確には「生活支援」というより「生存支援」というべきかもしれない。2014年12月末から1月初めにかけて、東京都渋谷区の公園からホームレス多数が排除され、さらに公園が施錠されたことをめぐってネットでの議論が沸騰したことは、未だ読者の皆様の記憶に新しいのではないだろうか?

 ともあれ、ホームレス状態とは、生存・生活が脅威にさらされ続けている状態だ。少年を中心とするグループがホームレスを襲撃する事件は、日常的に発生している。ホームレスが暴力被害の末に殺されたり重傷を負ったりする事件も、把握されているだけで、毎年数件は発生している。もちろん、加害少年たちは逮捕・補導され、裁判や審判を受け、刑務所や少年院で更生の機会を与えられる。しかし、事件そのものが詳細に報道される機会は多くない。少年たちが「骨の折れる音を聞いたらスカッとした(生田武志氏「野宿者襲撃論」による)」「社会のゴミを片付けた(生田武志氏「野宿者襲撃年表」による)」などと驚くべき言葉を発しているにもかかわらず、である。

 死に至るほどの事例は、ホームレスが日常的にさらされている暴力のうち、氷山のほんの一角に過ぎない。2014年、東京都内の複数のホームレス支援団体が行った調査によれば、ホームレス経験にある人々のうち「襲撃を受けたことがある」と回答したのは40%であったという(結果概要)。

 しかし、偶然を装っての「通りすがりに軽く蹴られる」「火がついたままのタバコの吸い殻を落とされる」「酔っ払いに小便をかけられる」「ゴミをぶつけられたり落とされたりする」「痰を吐きかけられる」といった、被害を受けた本人たちが「この程度で済んで良かった」と考えがちな事例まで含めると、「暴力被害を受けたことは全くない」というホームレスを見つけることの方が困難なのではないだろうか?

 これから2ヵ月ほどで、学校は7月の夏休みに入る。夏休みに増えるのは、ホームレスが少年たちに襲撃される事例だ。中には「ロケット花火で狙い撃ち」という悪質な事例もある。

 襲撃を受けていなくても、ホームレス生活が苛酷であることに変わりはない。