「○○は英語で何と言うのか」
という発想から離れる

 日本語の「しっかり」に相当する単語、表現があるわけではなく、文脈で判断するしかない。この場合であれば、She is young, but has it together. という表現が適切だろう。これはまだ文脈があったからいいほうで、「汚いはdirty 以外にどういう表現が使えるか」との問いは、どういう意味の「汚い」かによって答えは違ってくる。

 たとえば、「汚れている」という意味であればfilthy。「やり方が汚い」という意味ならunderhanded。人に対して使うのであればsly、deceitful など、程度やニュアンスによっていろいろな表現があるのだ。

 また単語だけでなく、日本語にある概念だからといって英語にあるとは限らないのだ。たとえば、「お疲れさま」という挨拶。これはそのまま英語にはできない。相手の労苦をねぎらう表現で、職場で先に帰る人に対しても使われるし、メールの冒頭にも使われる。

帰る人に対して言うのならば、Have a good one.、Have a good evening.、See you tomorrow. などが適切だ。仕事などをねぎらうのであれば、You did a good job. などが使える。そしてメールの冒頭で使われる「お疲れさま」に至っては、日本でも形該化しており、Hi、Helloくらいの意味しかない。

 I work for a small and midsize company. と英語で言った人がいる。a small and midsize company というのは「中小企業」の直訳だが、a company と単数だから、一つの会社を指している。これでは、「小規模かつ中規模でもある会社で働いている」という意味になり、物理的に不可能である。

 そこで、“Do you work for a small company or a midsize company?”と聞くと、“I work for a midsize company. I wanted to say 中小企業. How do you say it in English?”という返事が返ってきた。日本語の単語に固執しすぎて、それが意味するところすら見失っている例である。

「日本語の○○は英語で何と言うのか」ではなく、「こういう場面では英語で何と言うのか」という思考に切り替えよう。「○○は英語で何と言うのか」という呪縛から逃れられない限り、あなたの英語は上達しないと断言しよう。