ぼったくりは許さない。
原告側の弁護士費用にメス

  第2のトレンドとして、裁判所は、クラスアクションで和解が成立した場合の原告側の弁護士費用にも厳しい目を向けるようになっていることが挙げられます。
  和解金の額と比較して原告側の弁護士費用が多過ぎないかを、裁判所が検討し、多過ぎると判断した場合には減らすよう命じるケースが増えてきたのです。

 たとえば、こんな例があります。
 ある食品メーカーが製造したコーヒーメーカーに使うコーヒー豆を、有名コーヒーチェーンが販売していたのですが、この2社が契約を打ち切ったため、そのコーヒーメーカーでコーヒーが飲めなくなってしまいました。そこで、そのコーヒーメーカーを使用していた消費者が、損害を受けたとするクラスアクションを起こしたのです。

 結局、このケースではクラスアクションとは認定されず、原告個人への損害賠償のみが認められました。問題となったのは、その後です。原告の弁護士は、任官1年目で経験が浅かったにもかかわらず、弁護士費用として通常の2倍以上の350ドルの時給を要求。総額18万ドルを請求したのです。「それは、あまりにも高すぎる」と裁判所は認定。弁護士費用を6400ドルまで減らす決定をしたのです。

 クラスアクションでも、同様のトレンドにあります。クラスアクションの場合には、賠償額はケタ外れに大きくなりますから、弁護士費用も莫大になります。ここに制約を加えようとする裁判所の姿勢は、訴訟動向に大きな影響を与えています。

 このトレンドは、一般的には「よい変化」と受けとめられています。
 なぜなら、弁護士報酬が減らされる可能性があることが、むやみにクラスアクションを提起しようとする弁護士を抑止するはずだからです。

 本来、被害を受けた消費者を保護するためにある制度であるはずなのですが、クラスアクションをビジネスの“ネタ”にする弁護士がいるのも現実です。消費者がブログやSNSに書き込む、企業に対するクレームやネガティブなコメントを日頃からチェックして、クラスアクションになりそうな事例を探している弁護士もいます。そして、訴訟に持ちこめそうな書き込みを見つけると、原告となり得る人物を見つけ出して、クラスアクションを起こすのです。

 このような弁護士の行動を抑止するのは、企業にとってのみならず、社会にとってもよい影響をもたらすと言えます。